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OpenFlow/SDNの波が来た 第6回

OpenFlowの標準化に取り組むONFが都内で発表会

シリコンバレーと日本が新世代ネットワーキングをリードする

2012年06月12日 09時00分更新

文● 渡邊利和

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5月11日、SDN(Software-Defined Networking)の実現とOpenFlowの標準化に取り組む標準化団体ONF(Open Networking Foundation)は東京都内で記者説明会を開催。エグゼクティブディレクターのダン・ピット氏がONFの概要について説明を行なった。

運用管理をシンプルにできるSDN

 ダン・ピット氏は、今週幕張で開催されるInterop Tokyo 2012に合わせて来日した。ONFは13日に基調講演を行なうほか、展示会場では“OpenFlow Showcase”で製品展示やデモンストレーションを行なう予定だ。

エグゼクティブディレクターのダン・ピット氏

 ピット氏はまず、「SDNはユーザーニーズに基づいて構想された」というところから説明を始めた。従来型のネットワークに対しては、モバイルキャリアやWeb 2.0サービスの提供者、クラウド事業者、ビッグデータを取り扱うユーザーなど、さまざまな立場のネットワークユーザーがそれぞれ異なる課題に直面していたが、SDNはこれらの課題を単一のソリューションですべて解決する手段として生まれたという。

 SDNでは、従来ルーターやスイッチなどが持っていた経路制御機能とパケット転送機能を分離し、経路制御機能をネットワーク機器から独立したソフトウェアとして実装する。これによって、ネットワーク機器で使われていた高価なASICやFPGAは不要になり、安価な汎用プロセッサーで済むなど、より強力な制御機能をより安価に実現できるようになる。

従来のネットワーク(From)とSDN(To)の違い

 また、SDNでは仮想化されたネットワークに対してグローバルなビューを持つことができるため、運用管理をシンプルにできる。同氏は「現状の分散管理型のネットワークは冷戦時代の遺物だろう」と語ったが、これは“TCP/IPは核攻撃などでネットワークが全面停止に追い込まれることがないように中核的な管理ポイントを作らないアーキテクチャとした”と言われていることを踏まえたジョークだと思われるが、管理ポイントが分散することによる運用管理負荷の増大が現在のネットワークの深刻な問題点であることは間違いない。

SDNのレイヤ構造。従来ネットワーク機器の中にひとまとめになっていた機能を分離し、外に出している

 SDNでは、パケット転送機能に特化したシンプルなハードウェアスイッチまたは仮想スイッチをコントローラーソフトウェアで集中制御し、経路制御はコントローラーソフトウェアからスイッチに指示を与えることで実現する。従来のネットワーク機器に実装されていた高度な付加機能はネットワークアプリケーションとしてコントローラーソフトウェア側に移動する。わかりやすい例としては、ロードバランサーの機能は経路制御と密接な関連があるため、コントローラーソフトウェアと連携するアプリケーションとして実装することでハードウェアから機能を分離することが可能だ。現在ONFではコントローラ/ソフトウェアとスイッチの間のインターフェイスをOpenFlowとして標準化している。

SDNのレイヤー構造と標準インターフェイスの関係。コントローラーソフトウェアにはスイッチとのインターフェイス(OpenFlow)とアプリケーションとのインターフェイス(Northbound API)がある。現在標準化されているのはプロトコルインターフェイスとなるOpenFlowのみ。プログラミングインターフェイスの標準化はまだ行なわれていない

 コントローラーソフトウェアとアプリケーションの間を取り持つアプリケーションAPI(同氏はこれをNorthbound API:北行きのAPIと呼んだが、これはPCのチップセットにおけるノースブリッジと同じ発想で、図の上方を北と見立てたものだ)については標準化はまだ行なわれていないとした。ただし、標準化の意思がないということではなく、すでに何種類ものAPIが実装されているので、その中からデファクトスタンダードが確立されるかどうか当面は様子を見るということのようだ。

OpenFlowが話題の焦点に

 Open Flowは元々はシリコンバレーの頭脳とも言えるスタンフォード大学とカリフォルニア大学バークレイ校の研究者が開発を始めたものだが、2011年にONFが設立されると開発はONFに移管された。ONFでは精力的に開発に取り組み、バージョンアップを繰り返したが、現在の最新バージョンであるOpenFlow 1.3を当面の“安定版”とする予定だという。

OpenFlowとONFのこれまでの歩み

 ONFはシリコンバレーで生まれた組織だが、日本のベンダー各社の貢献は大きく、ONFの意思決定を行なう“Board of Directors”の9人のメンバーの中にも日本からNTTコミュケーションズの伊藤氏が参加しているなど、日本企業が多数ONFの活動およびOpenFlowの開発/商用化に取り組んでいる。日本向けのメッセージだから、という理由もあるにせよ、同氏がわざわざ「シリコンバレーと日本」と持ち上げるのは、このためだ。

 同氏はSDNについて、「根本的に新しく、真に重要な取り組みだ」とした上で、「OpenFlowはSDNの1要素だが、現状ではSDNを実現するための唯一の仕様だ」と語り、OpenFlowの重要性とその標準化プロセスを推進するONFの活動の意義を強調した。

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