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新OS「OS X Mountain Lion」 ― ポストPC時代に合わせ、Macの進化を加速させるアップル

2012年02月16日 22時31分更新

文● 林信行

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「Gatekeeper」――安全なMacをより安心なプラットフォームに

 さて、ここまでの機能は、「Back to the Mac」の精神を押し進め、すでにiOSで実現していた機能を、OS X流に再調理して搭載したものだが、10個目の機能、「Gatekeeper」はちょっと毛色が違う。というのは、iOSにはこの名前の機能が見当たらないからだ。

 パソコン誕生から30年近く経過して登場したiOS機器では、パソコンの問題点を熟知したうえで、同じ過ちを繰り返さないように細心の注意を払って設計された。

 パソコンに関する問題点の中でももっとも大きいのが、ユーザーのパソコンに危害を加えたり、情報を盗み出そうとする悪質ソフト、マルウェアやウィルスの存在だ。膨大な数のマルウェアが出回っているWindows搭載パソコンでは、これらが紛れ込んでいないかを探して削除するソフトの利用が(ユーザーの生産性向上にまったく関係ないにもかかわらず)必須事項になっており、ユーザーはパソコンを安心して使うためだけに更新料を毎年支払い続けている。

 iOSでは、こうした状況を解決すべく、基本的にAppStoreを通して入手したアプリケーションしか実行できないような構造を採用し、AppStore経由で提供するアプリケーションを1本1本、しっかりとアップルの側で審査をする方式を採用した(そのうえで、そのほかのセキュリティー機能もしっかり用意している)。

 これに対してMacでは、Mac App Storeが登場したものの、開発者のウェブサイトなどで膨大な数のソフトが出回っており、なかには開発者側の都合でどうしてもMac App Store経由で提供できない重要なアプリケーションもたくさんある。

 Macは、Windowsと違い、ほとんど悪質なソフトが出回っていないパソコンだが、現在の人気を維持して利用者がさらに増えれば、それらが増える危険もある。

 現行のOS X Lionでは、すでにいくつかマルウェア対策の機能が搭載されている。例えばインターネットからダウンロードしたアプリケーションを実行しようとすると、意図してダウンロード/実行しようとしているのか、ユーザーに対して確認を促すダイアログを表示する(たまにユーザーに目立たないように勝手にダウンロードされるマルウェアや、メールを通して広がるマルウェアなどがあるため)。

 また、アップルが悪質ソフトと特定したソフトがあると、それは自動的にゴミ箱送りとなる機能も備えている。Safariでマルウェアを配布しているサイトを表示しようとすると、警告を表示する機能もすでに搭載済みだ。

 ここまで万全な機能を提供しつつも、新OS、OS X Mountain Lionでは、さらに一歩本質の部分に踏み込んだセキュリティー機能Gatekeeperを用意し、ユーザーが安心してMacを使い続けられるようにする。

 Gatekeeperは、単純ながら、非常に効果的なしくみだ。要はユーザーがどのレベルのアプリケーションまで利用できるようにするかを「システム環境設定」で3段階から選べるようにしている。

 ひとつ目は、Mac App Store経由で入手したアプリケーションしか利用できないようにするオプションで、もちろん、これが一番安全な設定だ(Mac App Storeで提供しているアプリケーションは、アップルが審査したうえで提供している)。

 ふたつ目は、Mac App Store経由で入手したアプリケーションに加え、“アップルの認証を受けた開発者”のアプリケーションも利用できるようにするオプション。

 そして3つ目は、ユーザーがすべて自分で責任をとって、どんな経路で入手したアプリケーションでも自由に実行できるようにするオプションだ。

 ここで大事なのが、ふたつめのオプションにかかわる、アップルの認証を受けた開発者という新しい制度だ。

 Macの開発者登録をしている者は、Developer IDと呼ばれるIDを受け取り、自分が開発したアプリケーションにこのIDによる署名を入れることができる。

 OS X Mountain Lionは、この署名を元に、アプリケーションの開発者が誰かをユーザーに伝え、「アプリケーションがマルウェアでないこと」「開発者が過去にマルウェアを配布したことがないこと」「開発者が過去に不正行為に関わったことがないこと」を保証する。

 ふたつ目のセキュリティー設定をしているユーザーが、Developer ID登録をしていないアプリケーションをダウンロード入手し実行、あるいはインストールしようとすると、OS X Mountain Lionは警告を表示する。

 それでもどうしても、2番目の設定を保ったまま、そのアプリケーションを利用したい場合は、アプリケーションアイコンを選んだ状態でコンテクストメニューを呼び出し、そこからの操作で強制実行、強制インストールを行なう必要がある。

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