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2年連続の女王戴冠なるか? 5年目のミクGTプロジェクト 第3回

すべてはミクZ4の勝利のために! 智将・大橋監督の戦略

2012年02月17日 18時00分更新

文● 末岡大祐/ASCII.jp編集部

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──なるほど、大橋さんが実況のシステムを構築したんですね。同時にリポーターとしてもデビューしたわけですが、苦労とかありました?

大橋 どんなチームがいるのかも知らないし、ドライバーも知らない、そもそもSUPER GTのルールすらわからなかったんで、実況やるなら勉強しないとなあ、と。そこからGT300のチーム、クルマ、ドライバーをすべて覚えましたよ。あとその頃かな、GSRを正式に会社として設立しようって話が出たときに、安藝さんから「大橋さんも取締役になってよ!」って頼まれたんです。

──僕と契約してうんたらかんたら! みたいですね(笑)。そこからGSRの取締役にもなったんですね。

大橋 まあ、僕ができる範囲ならいいよと。仕事としては、サーキットでのインフラ構築だとかサイトの運営だとかをやってましたね。

──今の実況や個人スポンサーへのサービスなどを作り上げたんですね。2009年はフル参戦初年度と、ファンも関係者も思い出深い年なんですが、チームに本格的に参加してみていかがでしたか?

大橋 鈴木さんとか番場選手とかは、とくにこの頃の思い入れが強いですけど、僕はあまりなくて(笑)。ぶっちゃけて言うと結果にちょっと疑問を感じていました。だって、レースって予選で上位につけるかとか、決勝で優勝できるかとか、そういうところがファンや個人スポンサーさんにとっては楽しいんだろうなと思ってたんですよ。だけど、僕が見てても全然楽しくない。15位から16位に落ちました、とか言われてもねえ(笑)。当時、個人スポンサーさんたちに言ったら怒られそうな心境のまま1年間を過ごしてましたね。

 シーズンの途中から、星名さんや鈴木さん、片山エンジニアともよく話すようになって、他の上位で争っているチームとウチのチームは何が違うのか、なんで勝てないのかを考えるようになりましたね。

2010年はクルマをポルシェにスイッチすると同時に、チーム監督は大橋氏に委ねられた。この年、最初の生放送で発表された

──それが2010年の監督起用に繋がったと?

大橋 直接的な要因ではないんですけど。2009年のオフシーズンはホントいろいろあったんですよ。あらゆることが二転三転して。交渉ごとのほとんどを僕がやっていて(笑)。普通レーシングチームってエントラント主導だと思うんですけど、このチームはメインスポンサーのGSRが主導なので、クルマ、ドライバー、お金、ありとあらゆる心配をしないといけないんです。それらの要素を考えた結果、2010年は無理かなあとなったときに鈴木さんからCOXさんを紹介されて。

 僕はこの頃、もっとこのチームをいろんな人に知られるようにしないとダメだと思っていて、すでに8000人以上の個人スポンサーさんが集まってましたけど、もっと増やしたかった。COXさんとしては、新車の911 GT3Rを走らせたいという思いがあったし、われわれとしても日本に1台だけというインパクトや、今後GTの主流になるであろうGT3規格のクルマを走らせることで、話題性もある。お互いのやりたいことが一致したんですね。

 それで時間もなくてドタバタしてたところに「監督はどうしますか?」と言われて。僕は鈴木さんがやるのかと思っていたんです。そしたら「エントラントはCOXだから、大橋さん監督やったほうがいいよ」と鈴木さんに言われて。え、監督ってそういうもんなの? って(笑)。監督をやると決まったはいいけど、監督って何するんだろう、公式ガイドブックには載るなあ~と漠然と思ってましたね。

──監督と言ったら、かの中嶋 悟さんや星野一義さんとかと同じですよ!

大橋 そうなんですよ。監督会議とかで、見たことある人ばっかりだな~と思ってましたから。でも監督になったらなったで疑問がたくさん出てきた。なんでこうなのか、なんでこういう作戦なのか、なんでこういうことしないのか。でも新人監督なんで、どこまでしゃしゃり出ていいのかがわからなかった。そんな中でも、COXさんのエンジニアの方たちと話したり、他のチームのドライバーやメカニックとも仲良くなったりして、勝つためには何をすればいいのかがだんだんわかってきました。

 あと、番場選手と佐々木選手の乗り方が違うんだけど、自分の経験値がないからどっちのスタイルが正しいのかわからなかったんですよ。佐々木選手のセッティングに合わせると番場選手が乗れないし。その逆もあったりで、常に試行錯誤してました。

 ただやっぱり、上位を狙えるとは思えなくて、個人スポンサーさんたちに楽しんでもらうために、できるだけ上でゴールしてシーズンを終えるにはどうすればいいのかを考えてましたね。9月か10月には、もう次の年のことを考えてたと思います。

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