※この記事は新田龍氏のメールマガジン「ブログには書けない、大企業のブラックな実態」(「ビジスパ」にて配信中)から選んだコンテンツを編集しお届けしています。
2013年新卒の就職活動が本格化。例年に比べ短い採用選考期間の中、どのようなポイントで企業を見極めればよいか。採用ブラック企業アナリストの新田龍氏が、会社説明会、セミナーにおける留意点を伝授する。
2013年卒の就活も本格化し、多くの会社でセミナーや説明会、面接まで行われるようになってきた。今年から採用選考期間が実質的に短くなっている関係上、多くの学生は十分に企業研究をおこなわないまま(私に言わせれば、彼らのは「企業研究」ではなく「企業鑑賞」レベルだ)、就活の荒波に呑みこまれていく。
一生を左右するかもしれない企業選びを、単なるネット上の情報や第一印象だけで決めてしまうのだ。そんなことにならないよう、引き続き見抜き方を伝授していこう。
今回は、「会社説明会、セミナーで見抜く」というのがテーマである。
説明会やセミナーで見抜くのは難しい
一般的に、説明会やセミナーでブラックかどうかを見抜くのは難しいものだ。
そもそも、会社は何のために説明会やセミナーをやるのか。採用対象者を集め、自社についてプレゼンテーションし、良い印象を持ってもらい、入社志望度を高めるためである。
「自社の良いところをトコトン探しだし、あらゆる手段を用いて最大限に誇示する場」である以上、その場で何かまずいことが発覚する、ということは基本的にありえない。
実際、私自身が過去相談に乗った経験を振り返ってもこの構図は当てはまる。入社後ブラック企業であることが判明し、辞めたいと訴える相談者に「なぜこの会社を選んだのか?」と問うたところ、入社を決めたポイントは「説明会の印象」であり、「人事担当者や、社員の雰囲気」であったと回答しているのだ。
セミナーや説明会は広報イベント
「説明会に出てくる社員が好印象」というのは、採用マーケティング手法として常識である。セミナーや説明会は広報イベントだ。
どんな会社であろうと、自社でもっとも活躍していて、外見も人柄もいい人物を「代表選手」として出してくる。場合によっては、説明会要員を外部から確保して臨む企業もあるくらいだ。
応募者はその場面だけを印象に残し、「こんなすごい人が普通にいるような会社なのかぁ」と勝手に想像するのである。
一般企業でさえそうなのだ。ブラック企業の場合、疑問を抱かれてしまってはまずいので、より巧妙に演出することになる。セミナーや説明会で登場した「活躍している社員」は、おそらくこのように言うことだろう。
「会社が楽しくて仕方がない」
「辞めたいと思ったことはない」
「つらいことがあったとしても、自分の成長の糧になっている」
「辞めたいことがあったとしても、それを乗り越えて更に成長できた」
「働きやすくて、お勧めだ」
確かに、彼らにとっては本音かもしれない。しかし、皆さん自身が同じように感じられるかどうかは、まったく別問題なのである。
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