※この記事は高城幸司氏のメールマガジン「トップ営業の『稼ぐ』発想法」(「ビジスパ」にて配信中)から選んだコンテンツを編集しお届けしています。
4月から新年度。新社会人、そして新たに先輩になった皆さんは、相手が分かりやすい報告、理解度が高まる対話ができているだろうか?仕事コミュニケーションのスキルを磨く近道を、高城幸司氏が指南する。
世間には、口下手な人、饒舌な人がいます。この違いは先天的なものかもしれませんが、仕事コミュニケーションが先天的に上手い人はまずいません。逆に日常で饒舌な人が仕事コミュニケーションでは、「あの人口数は多いけど、仕事だと何を言っているかわからない」とマイナスに作用するくらいです。
それだけ仕事で対話することには別のスキルが必要なのです。そこで、あなたが饒舌か無口かは一切関係なく仕事コミュニケーションのスキルを上げるためには、学んで鍛える必要があることを覚えておきましょう。
では、どこで学んだらいいのでしょうか?
一般的にビジネススキル(業界知識や専門知識など)は講義形式で学びます。講師から知識を教えていただき、覚えて実践で活用します。一方で仕事コミュニケーションのようなヒューマンスキルを学ぶ最良の方法はOJT(On-the-Job Training)で学ぶことです。
マニュアル化が難しい暗黙知の部分を鍛える
ちなみにOJTとは現場の先輩が仕事をしながら指導者として割り当てられ、実際に仕事をしながら指導していくことです。マンツーマンで先輩社員の指導を受けるOJTの重要性については、若手社員に対する効果的な指導法として再び注目を浴びるようになってきました。
OJT形式で学ぶことは文書化・マニュアル化しづらい暗黙知に適しているといわれています。実際に仕事コミュニケーションはマニュアル化が難しいのでOJT形式で部下に対して上司が「もっとわかりやすく説明しなさい」とか、仕事上の報告や相談に対してビシビシと鍛えることが最も効果的です。
報告は、的確なアドバイスを得る貴重な機会
私も若いときに上司や先輩から叱られ、指導されて仕事コミュニケーションを磨いた記憶があります。
「お前は何を言っているのか、よくわからない。出直してこい」
とつき返されて、一旦は考えて、再び報告に行く……こうした繰り返しでスキルは向上したものです。こうした報告・相談の機会に一番指摘されたのは、「言いたいことをはっきりさせる」ことだった記憶があります。
当時、情報通信関連で営業部門に配属されましたが、メインの役割(ミッション)は新規開拓。なので、毎日新しいお客さまを探して、飛び込み、電話がけ(コールアップ)の連続です。そして、実際に訪問できた商談について上司に報告すると……内容を確認しながら仕事につながる部分を事細かに訊ねてきました。ところが当時の私は上司に聞かれたことにほとんど答えられませんでした。
聞けばいいことを聞いていない、聞けなかったことを後で調べることも出来ていない……まさにダメ出しのオンパレードです。
指摘を受けた項目を次はしっかり聞いて上司に報告すると、今度は別の質問が飛んできて 、またもやダメ出しをくらう繰り返しを半年も続けると、流石にダメ出しの数が減ってきます。私は上司に叱られなくなったことで少々安心をしました。ところが、その様子を察知した上司が私に言いました。
「もしかして俺に叱られないから安心とかしてないよな?お前がお客様に訪問して、報告する目的は何だ?今日の仕事を整理して、次につなげるヒントを上司から得ることではないのか?それが実現できたがどうかを反省して、明日の仕事につなげなければダメだ」
と注意されました。この言葉は今でも深く胸に響いた金言です。
確かに上司への報告は、上司へのためでなく、自分のためにするものです。さらに言えば、上司から的確なアドバイスを得るための貴重な機会とも言えます。

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