※この記事は新田龍氏のメールマガジン「ブログには書けない、大企業のブラックな実態 」(「ビジスパ」にて配信中)から選んだコンテンツを編集しお届けしています。
ブラック企業アナリストの新田龍氏が、一見ではわかりにくいブラック企業を、さまざまな客観的データから見抜き、誤って入らないようにするための様々な「見抜くポイント」を解説する。
就職・転職活動に際して、企業説明会やセミナーはかなり演出が施されるため、ブラックかどうかを見抜くのは難しいものだが、会社の内部は「日常」で溢れている。貴重な機会なので、自分自身が働く環境、長い時間を過ごす場として心地よいものかどうか、ぜひ見極めてきてほしいのだ。今回は「会社訪問で見抜く」というテーマでお伝えする。
会社訪問で見抜く
・メールや電話での案内が不親切
→顧客からの支持を失っている可能性がある。
相手が顧客であろうと、選考受験者であろうと、企業にとっては同じお客様であることに変わりない。自分自身への扱いに誠意が感じられない場合は、お金を払ってくれている顧客に対しても知らずの内に不興を買う行動をしている可能性がある。
「メールの返信が遅い」
「メールの文章が不自然」
「案内がわかりにくい」
「電話に出るのが遅い」
「電話応対の印象がよくない」
などといった感覚を抱いたら、「顧客に対しても同じような対応をしてるかも…」と注意しておくことだ。
・受付やオフィス、トイレが汚い
→社員のモラルが低い可能性がある。
共有部分の清掃は外部の業者さんがやってくれることがほとんどだろうが、オフィス内の状況はその会社の精神性を強く反映する。乱雑なままで平気な社員が多いということは、そのぶんだけ細かいところに配慮が足りず、「訪れる人がどんな印象を抱くか」というところまで相手の視点から考えられていないことを表している。
外部に対してそのような程度の配慮ということは、当然、社内の労務をどう捉えているか。推して知るべきといえるだろう。
また、乱雑なままということは、「本当に必要な情報が取り出しにくい」状況でもある。 何かを探すのに時間を割かれてしまうことは業務の非効率にもつながるので、長期的にみてもあまりよい選択とはいえない。
・標語やスローガン、棒グラフが所狭しと貼られている
→目標達成へのプレッシャーが強い可能性が高い。
これは比較的広範囲に見られる光景だろう。常に衆人環視のもとで結果を判断されることにプレッシャーを感じる人は避けたほうがよい。 ここまでは想定の範囲内だ。
ここで注意すべきは、グラフではなく「標語」や「スローガン」である。
「足で稼げ」
「気合だ やる気だ」
「訪問件数○件目標」
などとかかれていたら注意が必要だ。おそらくそういった「気合」を重視する会社では、行動量のみに価値がおかれ、営業戦略がなく、行動分析ができていない可能性が高い。当然ながら営業統括者、もしくは社長は、セールスについて精神的、感覚的な判断しかできない可能性が高いため、結果的に売れなかった場合に「会社の仕組み」ではなく「営業マンの能力」が問題だなどと言い出しかねないわけだ。これはもっとも報われないパターンである。

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