日本AMDは1月9日にRadeon HDシリーズの次世代モデル第1弾となる「Radeon HD 7970」を発売したが、それから1ヵ月を待たず1月31日に第2弾の「Radeon HD 7950」を発売する。
今回アナウンスされた「Radeon HD 7950」は、型番が示すようにシングルGPU最上位モデルである「Radeon HD 7970」のひとつ下に位置するモデルで、スペックが下がるぶん価格もリーズナブルになる。ショップでの店頭価格が6万円前後であった「Radeon HD 7970」は手を出しづらいと感じたユーザーには注目のモデルだ。
ただ、スペックが下がるといっても、それがパフォーマンスにどのくらいの差になって現われるかが気になるところ。そこで、「Radeon HD 7970」と「Radeon HD 7950」の違いを、内部仕様とベンチマークの両方から探っていきたい。
内部仕様はRadeon HD 7970と同じだが
動作クロックやメモリクロックなどが低下
まずは内部仕様の違いから見ていこう。基本アーキテクチャーについては、両者ともに違いはなく、Radeon HD 7950もRadeon HD 7970同様に、Graphic Core Next(GCN)の採用、PCI Express 3.0対応、DirectX11.1対応など、基本スペックは共通だ。なお、GCNについてはRadeon HD 7970のレビューで解説しているのでそちらを参照してもらいたい。
違いは動作クロックと、搭載するRadeon Core(Stream Processor)の数、メモリクロック数など。Radeon HD 7970の動作クロックが925MHz、Radeon Core数が2048基、メモリクロックが1375MHzに対し、Radeon HD 7950はそれぞれ800MHz、1792基、1250MHzとなっており、コアクロックとRadeon Coreが約10%、メモリクロックが約5%ダウンしていることになる。
演算能力を示すCompute PerformanceやTexture Fillrateの数字を見ると、Radeon HD 7950はRadeon HD 7970の数値の約0.75倍になっているため、実際のパフォーマンス比もこの数字に近いものと推測される。
スペックが下がったぶん消費電力も相応に低くなっており、最大消費電力は250Wから200Wと50W減り、PCI Express補助電源コネクターも6ピン×2に変更されている。ワットパフォーマンスは若干ではあるが良くなったと言えるだろう。
各ビデオカードの比較表 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
Radeon HD 7970 | Radeon HD 7950 | GeForce GTX 580 | ||||
コアの開発コード | Tahiti | Tahiti | GF110 | |||
製造プロセス | 28nm | 28nm | 40nm | |||
DirectX対応 | 11.1 | 11.1 | 11.0 | |||
コアクロック | 925MHz | 800MHz | 772MHz | |||
シェーダープロセッサー数 | 2048 | 1792 | 512 | |||
ROPユニット数 | 32 | 32 | 48 | |||
メモリ転送レート(相当) | 5.5GHz | 5.0GHz | 4GHz | |||
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | |||
メモリインターフェース | 384bit | 384bit | 384bit | |||
メモリサイズ | 3GB | 3GB | 1.5GB | |||
最大消費電力 | 250W | 200W | 244W | |||
外部電源 | 6+8ピン | 6ピン×2 | 6+8ピン |
省電力機能はRadeon HD 7970同様に、新しい「AMD Power Tune Technology」を搭載し、きめ細かな動作クロック制御のほか、ディスプレーの電源がオフになるような状態ではPCI Expressから以外の電力供給をカットする機能を備え、待機電力を3W以下に抑えている。こういった突き詰めた省電力機能は、常時PCの電源をオンにするようなユーザーには重宝する。
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