Atom Z670でWindows 7
速度は遅いが許容範囲内か
TH40/DのCPUはAtom Z670(1.50GHz)。1コア/2スレッドでGPU内蔵の、超低消費電力プロセッサーで(TDPはわずか3W)、ファンレス動作を目的とした小型タブレット向けのものだという。
内蔵するGPUは「Intel GMA 600」。インテルCPUに内蔵されるGPUには、Sandy Bridgeに統合された「Intel HD Graphics 3000/2000」がある。だがGMA 600はそれと異なり、旧Atom Zシリーズにも採用された英Imagination Technologiesの「PowerVR SGX」系GPU「Intel GMA 500」の後継だ。そのほかに、メモリーは1GB(増設不可)で、120GB HDDを搭載する。
Atom Z670を簡単に評すれば、「タブレット用CPU+スマートフォンで定評のあるGPU」のSoCということになる。1GBしかないメモリーから、最大245MBがビデオメモリーとして使われることや、ストレージもSSDではなく4200rpmと遅めのHDDであることなど、Windows 7を動かすにはギリギリのスペックだ。
エクスペリエンスインデックスも、総合スコアが「2.0」(CPU)。今回より使用する総合ベンチマークプログラム「PCMark 7」の総合スコアもわずか「403」である。
PCMark 7 Professionalのスコア | |||
---|---|---|---|
PCMark | Lightweight | Productivity | Creativity |
403 | 349 | 166 | 709 |
Entertainment | Computation | System storage | |
394 | 300 | 1214 |
エクスペリエンスインデックスが示すように、CPUが遅いとアプリケーション動作にかなり影響するようだ。たとえば、mp3音楽ファイルをいくつか再生してみると、CPU負荷は20~30%にもなる。一方で、GPUの動画再生支援機能は効果的である。720pのHDビデオ動画を、Windows Media Playerで再生したときのCPU負荷は50~70%。YouTubeで720p HD動画を再生しても同程度である。さすがにコマ落ちは発生するが、視聴に差し支えるほどではない。
ベンチマークで見ると問題がありそうだが、実際に使ってみると実用面では十分「アリ」の操作性と感じた。体感的には「初期のネットブックでWindows XPを動かしている」という感じだろうか、ウインドウ切り替えなどにも時間がかかるが、さほど苦にはならない。液晶ディスプレーの表示解像度が狭いこともあって、1画面にいくつものウインドウを開いての操作には不向きだが、1度に1作業と割り切って使うのであれば悪くはない。
Windows 7のファンレス機というのは、かなり挑戦的なことだと思う。そのためのCPU選択であるし、HDDが低速なのも温度上昇や動作音を抑えるためと思えば納得だ(SSDならば……とは思うが)。ほとんど無音で使えるのは、使用場所を選ばないモバイルノートの到達点として大いに歓迎したい。
この連載の記事
-
第133回
PC
Skyrimも快適? GeForce内蔵Ultrabook ASUSTeK UX32VD -
第132回
PC
写真やゲームをより美しく見せるナナオの液晶 FS2333 -
第131回
PC
デジカメとスマホを手軽に連携する無線LAN SDカード FlashAir -
第130回
PC
無線とタッチで使い勝手が進化したペンタブレット Intuos5 -
第130回
PC
スレートPCをCore i7で蘇らせたオンキヨー TW3A-A31 -
第129回
PC
店頭モデルも4コアCPUに パワーアップしたLets'note B10 -
第129回
PC
小型でも強力GPU搭載のゲームPC Alienware X51を検証 -
第129回
PC
Ultrabookと一緒に持ち歩きたい 超小型マウス「Cube」 -
第129回
PC
14型のUltrabookはアリか? デザイン重視のENVY 14 SPECTRE -
第128回
PC
WiMAXモバイルルーターの決定版!? Aterm WM3600Rを試す -
第127回
デジタル
高速SSDで起動・復帰が速いUltrabook Aspire S3-951 - この連載の一覧へ