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週刊 PC&周辺機器レビュー 第112回

スレート&ミニノート 新境地を拓く変形ノートTH40/D

2011年08月05日 12時00分更新

文● 池田圭一

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Atom Z670でWindows 7
速度は遅いが許容範囲内か

 TH40/DのCPUはAtom Z670(1.50GHz)。1コア/2スレッドでGPU内蔵の、超低消費電力プロセッサーで(TDPはわずか3W)、ファンレス動作を目的とした小型タブレット向けのものだという。

 内蔵するGPUは「Intel GMA 600」。インテルCPUに内蔵されるGPUには、Sandy Bridgeに統合された「Intel HD Graphics 3000/2000」がある。だがGMA 600はそれと異なり、旧Atom Zシリーズにも採用された英Imagination Technologiesの「PowerVR SGX」系GPU「Intel GMA 500」の後継だ。そのほかに、メモリーは1GB(増設不可)で、120GB HDDを搭載する。

 Atom Z670を簡単に評すれば、「タブレット用CPU+スマートフォンで定評のあるGPU」のSoCということになる。1GBしかないメモリーから、最大245MBがビデオメモリーとして使われることや、ストレージもSSDではなく4200rpmと遅めのHDDであることなど、Windows 7を動かすにはギリギリのスペックだ。

Windows 7のエクスペリエンスインデックスは全体的に低調。CPUサブスコアの「2.0」はギリギリ動くというレベルか

 エクスペリエンスインデックスも、総合スコアが「2.0」(CPU)。今回より使用する総合ベンチマークプログラム「PCMark 7」の総合スコアもわずか「403」である。

PCMark 7 Professionalのスコア
PCMark Lightweight Productivity Creativity
403 349 166 709
Entertainment Computation System storage
394 300 1214

 エクスペリエンスインデックスが示すように、CPUが遅いとアプリケーション動作にかなり影響するようだ。たとえば、mp3音楽ファイルをいくつか再生してみると、CPU負荷は20~30%にもなる。一方で、GPUの動画再生支援機能は効果的である。720pのHDビデオ動画を、Windows Media Playerで再生したときのCPU負荷は50~70%。YouTubeで720p HD動画を再生しても同程度である。さすがにコマ落ちは発生するが、視聴に差し支えるほどではない。

音楽ファイル(mp3)を再生。これだけの処理でCPU負荷は20%前後を示している

HDDにあるmp4動画をWMPで再生。CPU負荷は50~70%で推移。ときおりコマ落ちするが、視聴できないレベルではない

 ベンチマークで見ると問題がありそうだが、実際に使ってみると実用面では十分「アリ」の操作性と感じた。体感的には「初期のネットブックでWindows XPを動かしている」という感じだろうか、ウインドウ切り替えなどにも時間がかかるが、さほど苦にはならない。液晶ディスプレーの表示解像度が狭いこともあって、1画面にいくつものウインドウを開いての操作には不向きだが、1度に1作業と割り切って使うのであれば悪くはない。

 Windows 7のファンレス機というのは、かなり挑戦的なことだと思う。そのためのCPU選択であるし、HDDが低速なのも温度上昇や動作音を抑えるためと思えば納得だ(SSDならば……とは思うが)。ほとんど無音で使えるのは、使用場所を選ばないモバイルノートの到達点として大いに歓迎したい。

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