省エネ動作も充実
ピークシフト機能も搭載
元々省電力なノートといえども、省エネ追求はいまや当たり前。東芝の製品は以前から、「TOSHIBA ecoユーティリティ」を装備するなど省エネに役立つ機能を進んで搭載しているが、Sandy Bridge世代のCoreプロセッサーを搭載することで、さらに効果的な省エネ設定が可能になったようだ。
T751/WTTCには、Windowsが標準で用意する電力プランの「バランス」に加えて、かなり積極的に電力消費を抑える「ecoモード」がある。TOSHIBA eco ユーティリティで設定しておけば、本体キーボード上部のタッチセンサーに軽く触れるだけで、ecoモードに切り替わる。
バランスモードでHDビデオ動画を再生しながら、同時に演算処理(CPU占有率80%前後)を実行させたところ、最大で65Wほどの消費電力になった。一方ecoモードに切り替えると、同じ動作でもおよそ半分の30W前後に消費電力が低減。さらに、操作を何もしない状態での消費電力は、12W程度にまで下がった。なお、ecoモードでは各種イルミネーションの消灯や、ディスプレーバックライトが減光されるほか、CPUや内蔵GPUの動作周波数が制限されるようだ。
TOSHIBA eco ユーティリティには、消費電力やCO2排出量換算グラフの表示機能もあり、T751を使う間でどれぐらい省エネに貢献できたかを表示できる。また、ピークシフト機能も追加された。標準設定ですでに、今夏の電力事情を考慮した設定値が入力されており、設定に悩まずとも使えるのがありがたい。
ちなみに、T571/WTTCのバッテリー駆動時間はカタログ値で約4.5時間だが、Windows側の計算では、ecoモード有効・処理をしていない状態で約3時間11分となっていた。目立った重い処理をしなければ、実際のところ2時間以上はバッテリー駆動が可能であろう。ピークシフト機能もまた活用したいところだ。
最後になったが、本シリーズのアピールポイントでもある1台4役のうちのひとつ、「音」についても言及しておこう。同社の大型ノートは以前から、harman/kardonロゴの付いたステレオスピーカーを搭載している。米国オーディオ専門メーカー、ハーマンのマルチメディア製品向けブランドがharman/kardonであり、最近の製品は先鋭的なデザインで知られている。もちろん、T751に搭載されたスピーカーにもharman/kardonの技術が投入されている。
実はこの原稿執筆している最中に、T751と同クラスの大型スタンダードノートを試用していて、そのノートのスピーカーには「JBL」ロゴが付いていた。ちなみにJBLも、ハーマンのスピーカー向けブランドである。期せずして同じハーマンのスピーカーがそろったため、両者を聞き比べてみたのだが……、残念ながらT751の再生音は、harman/kardonブランドの名に恥じないと言える程度の音質ではなかった。
試作機固有の問題という可能性もあるが、大出力では音割れが生じて、出力を下げると今度は高音ばかりが目立ってしまって耳にうるさい。まるで他人のヘッドホンから漏れ出てくるようなシャリシャリ音なのである。
★
今回評価したCore i7搭載のT751/WTTCは、直販価格14万5800円。Core i5搭載モデルのT751/WTMCでは、14万800円となる。Core i7-2630QMとCore i5-2410Mの価格差が5000円であれば、迷わずT751/WTTCを選びたいところだ。
一方で、3波対応ダブルチューナーを積んだ店頭販売モデルのT751/T8CRは、実売価格で17万5000円前後である。テレビ機能を重視する人にはT751/T8CRが、テレビは重視しないが高性能なノートを、という人にはT751/WTTCがお薦めである。
dynabook Qosmio T751/WTTC(試用機)の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core i7-2630QM(2GHz) |
メモリー | 4GB |
グラフィックス | CPU内蔵 |
ディスプレー | 15.6型 1366×768ドット |
ストレージ | HDD 640GB |
光学ドライブ | BDドライブ |
テレビ機能 | 地上デジタル放送×1 |
無線通信機能 | IEEE 802.11 b/g/n |
インターフェース | USB 3.0×1、USB 2.0×3、HDMI出力、アナログRGB出力、10/100/1000BASE-T LANなど |
サイズ | 幅387.6×奥行き266.8×高さ29.1~34.8mm |
質量 | 約3.0kg |
バッテリー駆動時間 | 約4.5時間 |
OS | Windows 7 Home Premium SP1 64bit版 |
直販価格 | 14万5800円 |
筆者紹介─池田圭一
月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。
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