3D元年とされた2010年末、東芝は3Dメガネ不要の裸眼(グラスレス)3Dテレビ「グラスレス3Dレグザ」を発売し、他社に先駆けてグラスレス3D対応製品を市場に投入した。そして今年7月には、グラスレス3D技術を取り入れた大型AVノートパソコン「dynabook Qosmio T851/D8CR」(以下Qosmio T851)を発売するなど、積極的にグラスレス3D製品を展開している。
各種メディアを使って裸眼3Dを楽しめる、Qosmio T851の実力を体験してみた。
Qosmio T851が採用するグラスレス3Dとは?
製品の話に入る前に、裸眼での3Dステレオ表示の仕組みについて、簡単に説明しておこう。面(2D)のディスプレーで立体(3D)を表現するには、視差を利用するのが一般的だ。左右の目それぞれにわずかに異なる映像が入ると、人間の脳が奥行きを感じて立体に見える。
「NVIDIA 3D Vision」など、パソコンで主流の「フレームシーケンシャル方式」の3D表示は、2つの映像を高速で切り替えながら表示して、表示タイミングと同期した液晶シャッターによって、右目には右目用の映像が、左目には左目用の映像が届くように制御している。液晶シャッターはサングラス風のメガネになっており、3D表示を楽しむには専用メガネが必須となる。dynabook Qosmioシリーズは以前から3D表示に対応した製品をリリースしているが、例えば2011年春モデルの「dynabook T551/D8B」は、このアクティブシャッター方式を採用する。
一方グラスレスの3D表示は、表示パネルの前に画素ピッチと同じ間隔で微細レンズを並べた、特殊なシートを置くことで実現している。2つの映像を隣り合う画素ごと交互に表示すると、微細レンズの屈折作用が右目用の映像(画素)と左目用の映像(画素)を分けて目に届ける。フレームシーケンシャル方式が時間分割なら、グラスレス3Dは空間分割での3D表現となる。
グラスレス3Dレグザでは、多角度プリズムを使う「インテグラルイメージング方式」によって、複数人が同時に3D映像を見られる方式となっているが、パソコンのQosmio T851では視聴者を1人に限定して、ピンポイントに3D効果が出るよう、リアルタイムに視差を計算して表示している。また、微細レンズ(アクティブレンズ)を部分的にオン/オフすることで、2D画面の中に部分的な3D画面を表示できるようにしている(関連リンク)。
強力なテレビパソコンでもある
Qosmio T851
グラスレス3Dが注目されるQosmio T851だが、一般的なパソコンとしての能力はどうなっているのだろうか。QosmioはAV重視のテレビパソコンに付くブランド名であり、現行ラインナップのノート型は、すべて15.6型ワイド液晶ディスプレーを搭載する。他のQosmioが1366×768ドットのディスプレーを搭載するのに対して、Qosmio T851のディスプレーはフルHD対応の1920×1080ドット。名実ともにQosmioのフラグシップといえる存在だ。
外観はほかのQosmioノートとほぼ同じで、カラーデザインは天板が真紅、キーボードやパームトップなど使用時に目に入る部分は黒の「シャイニーレッド」となる。以前紹介したのエントリーモデル「dynabook Qosmio T751」(の同色モデル)と並べると、外見だけで区別はできなさそうだ。

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