スイッチでデータセンターが変わる 第60回
次世代データセンター実現のための新ファブリックアーキテクチャ
シンプルさこそ力!ジュニパーのQFabricアーキテクチャ
2011年02月28日 10時00分更新
2月25日、ジュニパーネットワークス(以下、ジュニパー)は同社がこれまで取り組んできた「Stratus Project」のアーキテクチャを「QFabricアーキテクチャ」として発表、さらに同アーキテクチャ対応製品の第一弾となるQFX3500を発表した。
データセンターファブリックを一層にシンプル化
ジュニパーは、データセンター・ファブリックを構成する新しいアーキテクチャとして「QFabric」を発表、併せて、QFabricアーキテクチャに対応する初の製品となる「QFX3500」を発表した。
QFabricは、同社が数年にわたって取り組んできた研究開発プロジェクトである「Stratus Project」の成果として発表されたもの。「エンタープライズレベルから大規模なクラウドサービスプロバイダーまで、あらゆる規模のデータセンターのパフォーマンス、運用コスト、ビジネス俊敏性を飛躍的に向上」させるという。また、QFabricは同社が提唱してきた「3-2-1 データセンター・ネットワーク・アーキテクチャ」の“1”レイヤに相当するという。
まず概要説明を行なった同社の代表取締役社長の細井 洋一氏は、「シンプルが持つ力」を強調、「シンプルなことは良いことだが、成し遂げるのはきわめて難しい」とした上で、今回発表のQFabricが仮想化やクラウドといった新しい要件に直面しながらも進化が停滞していたネットワークインフラをシンプルにすることを可能にするものだと位置づけた。
また同氏は、現在の大規模ネットワークのスイッチの構成が、コアスイッチ/アグリゲーションスイッチ/トップオブラックスイッチの3層構成のアーキテクチャから、コアスイッチとトップオブラックスイッチの2層構成へとトレンドが移り変わりつつあることを指摘した。この理由として同氏が指摘したのは、3層よりも2層の方がシンプルで運用管理負担が軽減でき、機器購入や設置スペース、消費電力などに費やされるコストも軽減できることにユーザーが気づいたことだという。その上で同氏は、「2層よりも単層(1層)の方がさらにシンプルだとした。
QFabricによる単層構成のネットワークは、従来階層構造を基本にしていたネットワークスイッチの配置をフルメッシュ型のトポロジーに変更することを主眼としている。このために同社が採ったアーキテクチャは、従来のコアスイッチを「ファブリック」と「I/Oポート」に分離するというもの。具体的な機器構成としては、ファブリックインターコネクトである「QF/Interconnect」、ファブリックエッジとなる「QF/Node」、運用管理用のインターフェイスとなるファブリックマネジメントとして「QF/Director」を組み合わせる形となる。
従来のシャーシ型スイッチと一見したところよく似ており、QF/Interconnectがシャシーに、QF/Nodeがシャーシのスロットに挿入されるポートモジュールに相当すると考えればわかりやすいだろう。ただし、シャシー型スイッチとは異なり、シャーシ単体で独立したスイッチを構成するのではなく、必要な規模に応じて複数のQF/Interconnectを相互接続して規模を拡大でき、さらにQF/Nodeは独立した単体スイッチであり、専用インターフェイスを介してQF/Interconnectと接続する一方で、単体でも従来同様のスイッチとして利用可能となっている。
QFX3500の概要
初のQFabricアーキテクチャ対応製品として発表されたQFX3500は、QF/Nodeに当たる製品だ。現段階ではQF/Interconnectはまだユーザーサイトでのトライアル中という段階であり、製品出荷は2011年第3四半期を予定している。QF/Interconnectが出荷されるまではQFabricを同社の構想通りの単層ネットワークファブリックとして運用することはできないが、QFX3500単体でも「1Uサイズに10Gbps Ethernet×64ポートを集約」「従来製品よりも1桁高速化された低レイテンシ設計」「ジュニパー初となるFC-SAN対応(2/4/8Gbps FC×12ポート)」といった新機能が実装されており、将来のQFabricの導入をにらみつつ、まずはQFX3500単体で導入しても充分なメリットを期待できる製品となっている。
QFX3500の最小構成価格は482万8000円(参考価格)で、受注開始は3月中の予定。
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