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ジュニパーがMPLSの柔軟性とOTNの光スイッチングを統合する

OTNも話せるMPLSスイッチ「PTX」でキャリアのコアは変わる?

2011年04月25日 11時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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4月25日、ジュニパーネットワークスは、通信事業者向けのパケットトランスポートシステム「PTX5000/9000」、PTXをコアに据えた「スーパーコア・アーキテクチャ」を発表した。事前に行なわれた説明会において、同社の佐宗大介氏が製品概要や登場の背景について解説した。

OTNとMPLSをなぜ統合するのか?

 PTXは「パケットトランスポートシステム」を謳う通信事業者のコアネットワーク向けの伝送装置で、ルーターの配下で動作するMPLSスイッチになる。

ジュニパーネットワークス サービスプロバイダマーケティングマネージャ 佐宗大介氏

 PTXが登場してきた背景には、ネットワークトラフィックの急増がある。現在、通信事業者がトラフィックのピークにあわせてネットワークを設計すると、莫大なコストが発生する。まして端末の種類も増え、システムがクラウド化され、トラフィックも大きく変化するのが昨今の動向だ。これにより、今後数年後に収益と投資のバランスが崩れるというのが通信事業者の大きな課題となっている。だが「この10年のルーターの性能向上は2.2倍/年なので、毎年17倍というトラフィックの伸びに追いつかない」(佐宗氏)とのことで、単にルーターを増やせばよいわけではなく、コスト削減とかつてない性能を実現する必要がある。

収益 vs 投資コストの経済性の問題

 こうした課題に対して、北米の通信事業者においては、IPの下位レイヤーでスイッチングを行なう方式としてOTNとMPLSを統合しようという動きが見られるという。OTN(Optical Transport Network)は1本の光ファイバーに複数のチャネルを載せるDWDM(高密度波長分割多重方式)を、1対1ではなく、網で利用するために開発された回線交換型技術。北米では、かなり導入が進んでいるという。スイッチングだけではなく、エンドツーエンドのエラー訂正機能も持つ。一方のMPLSは、通信事業者向けの制御を可能にしたパケットベースプロトコルの汎用スイッチング方式として知られている。MPLSはIPルーターに統合されているのが一般的だ。

MPLSとOTNを統合することで、レイヤが1つ減ることになる

大型のIPルーターを増やすだけでは、インフラや設備は増大する

 なぜOTNとMPLSを1つのシステムに統合した方がよいのか。以前のアプローチを検証すると大きく3つに別れる。まず従来のアーキテクチャに、IPルーターを増やす方法では、インフラが複雑になり、消費電力や管理の負荷、コストは増加してしまう。また、OTNスイッチを採用すると、ビット単価は下がるが、回線交換のOTNの性格上、ピークにあわせて設計しないとならないので、ネットワーク全体ではコストがかかる懸念がある。もちろん、両方を入れる方法もあるが、トラフィック変動の少ない場合のみ有効で、構造も複雑になってしまうという。

PTXをコアに据えた「スーパー・コアアーキテクチャ」

 これに対してジュニパーが提供するのが、PTXシリーズだ。PTXは本質的にはMPLSスイッチだが、OTNも解するエンジンを統合している。これをコアネットワークに盛り込むことで、既存のOTNスイッチに比べ、ネットワーク費用を最大45~65%削減できると試算している。「PTXと光伝送装置を同時にコンフィグできるので、運用管理も簡素化する。しかも専用のチップセット「Junos Express」を採用しているがため、非常にパフォーマンスも高い」(佐宗氏)。

ジュニパーのPTXをベースにしたアーキテクチャ

PTXをコアに据えた「スーパーコア・アーキテクチャ」

 PTXをコアに据え、別途T4000などのルーターを組み合わせた「スーパーコア・アーキテクチャ」により、毎年17倍というトラフィック爆発時代を乗り切るというのが、ジュニパーの戦略となる。佐宗氏によると、PTXを説明するセミナーの集客も好調で、通信事業者の関心もかなり高いという。

8スロットを持つ「PTX5000」

 PTXシリーズは、8スロットを持つ「PTX5000」と16スロットを持つ「PTX9000」が用意される。10/40/100GbEのDWDMインターフェイスを備え、初期状態では1スロットあたり480Gbps、最大2Tbpsのスループットを実現する。出荷は2012年の予定で、2011年の第3四半期にβテストがスタートする予定となっている。

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