3月9日、NECはネットワーク制御技術「OpenFlow」に対応したネットワーク製品「UNIVERGE PFシリーズ(プログラマブルフロー)」の販売開始を発表した。OpenFlow対応製品の販売は、NECが世界初という。
OpenFlowは、スタンフォード大学を中心に、シスコシステムズやHP、ジュニパーネットワークスなどが参加するコンソーシアムが規定する技術とインターフェイスの総称。NECは、コンソーシアム設立当初から参画しており、スペック策定や標準化の推進に積極的に関与している。
現在のスイッチやルーターは、宛先のMACアドレスやIPアドレスでパケットの転送先を決める。これに対してOpenFlowでは、宛先/送信元双方のMACアドレスとIPアドレス、ポート番号などの組み合わせによって定義される「フロー」を元に通信トラフィックを識別。そのトラフィックのポリシーに基づいて経路を決定し、パケットの転送を行なう。
NECでは、OpenFlowにネットワーク仮想化や状況の可視化を可能にする機能を加えた技術を「ProgrammableFlow(プログラマブルフロー)」と命名。実際にパケットの転送を行なう装置を「プログラマブルフロー・スイッチ」、これを集中管理・制御し、ポリシーの配信などを行なう装置を「プログラマブルフロー・コントローラ」と呼んでいる。
今回発表されたプログラマブルフロー・スイッチは、10/100/1000BASETE-TXポート×48、10GBASE-Rポート×4を内蔵した製品で、外見は既存のスイッチそのもの。一方のプログラマブルフロー・コントローラは、同社の2Uサーバーに専用のソフトウェアを搭載した製品となる。
製品の価格は、プログラマブルフロー・スイッチが250万円から、プログラマブルフロー・コントローラが1000万円から。販売ターゲットは、主にデーターセンター事業者となる。
同日にNEC本社で行なわれた発表会では、プログラマブルフロー・スイッチを2台(冗長構成)と、4台のプログラマブルフロー・スイッチで構成されたネットワークを用意。経路の一部に輻そうが発生した場合、特定の通信だけを別の経路に分けるデモを行なった。続いて、5台目のプログラマブルフロー・スイッチを追加し、既存の4台とLANケーブルで接続。すると、管理画面のネットワーク構成図に自動的に5台目が追加され、経路が自動生成される様子も実演された。
既存のネットワーク技術では、輻そう発生時に特定の通信だけ経路を自動的に変えるのは難しく、また、スイッチを追加してネットワーク構成を複雑にすると、ループ防止などで使われない経路がでてしまっていた。しかし、プログラマブルフローでは、こうした問題は生じないという。
両製品の出荷時期は、5月上旬の予定。今後2年間にワールドワイドで200システムの販売を目指す。
OpenFlowはオープンな規格であり、コンソーシアム参加企業間で相互接続検証も行なう。ただし、本製品が世界初ということもあり、NECでは、当面は自社製品のみによる構成を想定してとのこと。
この連載の記事
-
第76回
ネットワーク
オープンな分散ファブリックを実現するフォーステン -
第75回
ネットワーク
アラクサラ、44ポートの10GbEを積んだスイッチ「AX3830S」 -
第72回
データセンター
ネットワーク機器ゼロのデータセンターを目指す「MidoNet」 -
第71回
ネットワーク
Avaya VENAの目指すネットワークの仮想化対応とは? -
第69回
ネットワーク
エクストリーム、20Tbps容量の「BlackDiamond X8」など -
第68回
データセンター
NexusもUCSも新しい!シスコのデータセンター革命は続く -
第61回
TECH
ネットギア渾身のToRスイッチ「XSM7224S」に触れる -
第60回
ネットワーク
ジュニパー、スイッチ統合QFabricに中規模DC向け「QFX3000-M」 -
第60回
ネットワーク
シンプルさこそ力!ジュニパーのQFabricアーキテクチャ -
第55回
ネットワーク
40GbEと低遅延で差別化!フォーステンのToRスイッチ - この連載の一覧へ