本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
Apple TVに対する2つのネガティブな意見
2011年10月、ついに日本でも発売された2代目「Apple TV」。Apple TVの名を継いだものの、CPUをApple A4に変更、ストレージの廃止などハードウェアを一新。筐体デザインも大幅に変更され、8800円という挑戦的なプライスタグが付けられた(関連記事)。同時にHD品質のムービーレンタルも開始され、登場時のインパクトはかなりのものだったと記憶している。
だがこのApple TV、ここのところ話題に登ることが少ない。なぜか? ムービーレンタルの需要が巷間でいわれるほど高くなく、タイトル数が出揃わない現状は8800円という価格でさえ割高感がある。それが最大の理由だろう。しかし、アーリーアダプターの評価がそれほどでもなかったから、次段階のアーリーマジョリティーにつながらなかった、とは考えられないだろうか。
筆者が気になった点を挙げてみよう。
ひとつは、光オーディオ出力のサンプリングレートが一律48kHzになっていること。通常、音楽CDをソースとするオーディオファイルは44.1kHzのままエンコードされるが、なぜかそれを48kHzにアップサンプリングし出力してしまう。しかも48kHz固定のため、44.1kHzのみ対応のDACでは再生できないなど弊害が発生する。オーディオファンに不評なこともうなずける仕様だ。
もうひとつは、リモコン。可能な限りシンプルにするというアプローチは理解できるし、誰にでも理解しやすく操作に悩むことがない、という点は評価されるべきだろう。しかし、操作対象を移すときには、一度ルート階層(トップメニュー)に戻らなければならない。音楽を聴いているとき、ふと映画を見たくなったとしたら、MENUボタンを数回押してトップメニューまで戻り、それからムービーメニューをブラウズするしかないのだ。しかも、通信インターフェースはIrDA。Appleにしてはレガシーすぎるといっていいはず。リモコンの意匠が黒一色のApple TVと明らかに意匠が異なることも、「(Mac向けApple Remoteの)流用か?」という疑念を持たせるに十分だ。
(次ページへ続く)
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