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Apple Geeks第185回

iPhone 7搭載の「A10 Fusion」「W1」は何を変えるか

2016年09月13日 10時00分更新

文● 海上忍(@u_shinobu)、編集●ハイサイ比嘉

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 本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。

 UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。

 日本時間の8日未明、サンフランシスコで開催されたApple Eventsで「iPhone 7」と「iPhone 7 Plus」が発表された。かねてからの噂どおり、Felicaのサポートと(Plus限定だが)デュアルカメラがフィーチャーされ、イヤホンジャックも廃止された。ひょっとするとAppleの秘密主義に変化が生じたのかもしれないが、それはさておき、例年に比べるとサプライズの少ない発表会だったといえるだろう。

 しかし、目を「チップ」に移すと、また違った世界が見えてくる。注意深くというほどでもないが、事実を丁寧に拾いさえすれば、今後のApple製品がどのように展開されるか、確信に似た考えが浮かんでくるというものだ。

「A10 Fusion」

 まずは「A10 Fusion」。Appleが設計を行なうPoP(Package On Package、CPUコアやGPUを集積したSoCにDRAMを重ねたデバイス)であり、iPhone 4に採用された「A4」以降、A5、A6、A7……と「A」のあとに数値を配するだけのネーミングだったが、今回は「Fusion」という言葉が加わった。そのネーミングの変化は、何に由来しているのだろうか。

 A10 Fusionの見どころは、A9より40%速いなどというパフォーマンスの向上よりも、ヘテロジニアス(異種混交)構成のCPUコアを採用したことにある。基調講演の壇上で直接言及されることはなかったが、2基のハイ・パフォーマンスなCPUコアと2基の高効率なCPUコアで構成されるということは、「big.LITTLE」を採用したと推定されるからだ。コアは独自開発のものなのか、プロセスルールなども詳細は明らかにされていないが、前述したコア構成はbig.LITTEのそれにほぼ符合する。Fusionという言葉を使う理由も、どうやらここにありそうだ。

おわびと訂正

プロセスルールについて誤りがあったため、修正いたしました。訂正するとともに、読者ならびに関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。

iPhone 7に採用された「A10 Fusion」には、4期のCPUコアがヘテロジニアス(異種混交)構成で搭載されている

「big.LITTLE」

 big.LITTEはARMの省電力技術であり、パフォーマンスを追求した高速コアクラスタ(big)と効率を重視する省電力コアクラスタ(LITTLE)の組み合わせにより実現される。要求される処理能力に応じてコアを使う必要があり、その制御はソフトウェアが担う。SnapdragonなどAndroidスマートフォン搭載のSoCでは導入済であり、6コアや8コアで運用されている。

4基のうち2基は、パフォーマンスを追求した高速コアクラスタとして利用される

 注目すべきは、そのソフトウェアだ。OSレベルでbig.LITTLEを制御する場合、2種類あるコアクラスタを切り替える(片方は稼働してもう片方は停止する)「big.LITTLE Switch」と、OSのスケジューラにより両クラスタを高速に切り替える(ほぼ同時に稼働する)「big.LITTLE MP」という2種類の実装があるが、どうやらiPhone 7では後者のタイプを利用しているらしい。

効率を重視するコアクラスタにより、従来のiPhoneでは難しかった省電力が実現される

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