NECから「モバイルギア」が復活する。といっても、ブランド名もハードも違うものだ。「LifeTouch NOTE」シリーズ(以下LifeTouch)は、往年のモバイルギアを思わせるスタイル・機能を備えたAndroid搭載端末である。
NECは今なぜ、このスタイルの端末を復活しようとしたのだろうか? そして、同社における「Android」の位置づけはどうなるのだろうか? LifeTouchの商品企画担当者に話を聞いた。
今回お話しいただいたのは、NEC パーソナルソリューション事業開発本部エクゼクティブエキスパートの渡邉敏博氏と、同部エキスパートの花岡 平氏である。
キーボードで「書ける」端末を!
「PCに近い操作感」に注力
LifeTouchの詳細は、別途ニュース記事をご覧いただきたい。基本的にはAndroid 2.2をOSに採用し、フルキーボードを搭載した「モバイルギアライク」な製品である。違いはもちろん、モダンなOSであるAndroidを採用していること。元々の商品企画の発想も「Android」の存在と大きく関係している。
花岡「実は私の上役は、モバイルギアを実際に担当していた人々なんです。彼らが『今のネット世代に合わせたモバギを作るとどうなるか』と考えたところから始まっています」
「一方で、私が最近のスマートフォンに感じていたストレスは、『見るのは楽だけど書けない』ということでした。現在のスマートフォン的な端末は文字が入力しづらい。ですから『いいキーボードが必要だ』、というところからスタートしました」
渡邉「経緯を補足しておきましょう。パソコン事業の中でも端末事業は、これからのクラウド時代に重要な位置を占めます。もちろんPCはPCです。他方で、そうでない『中間領域』に対しては、(NECの)ビジネスユニット全体で取り組まないといけないという認識をしていました。2年くらい前からそういう話が出始め、『パーソナルソリューション事業開発本部』が立ち上がりました」
「ではそれを、どういうプラットフォームでやるか? 我々のグループ内には技術的な蓄積もありましたので、『Androidを中心とした技術でやろう』ということになったわけです」
花岡「私が企画に参加した2009年11月には、企画はすでに始まっていました。そこから半年くらいは試行錯誤しています。画面サイズも4インチから10インチまで検討しましたし、キーボードのある/なしも検討しました。最初からこの形ではなかったんです」
「実際のところ、タブレットでは10インチでも『打ちづらい』と感じました。またほかのOSも検討しましたが、起動時間を考えると、最初にWindowsがはずれました。その結果、Androidを採用することになったのです」
「そうすると、毎日持ち歩けてキーの操作性を落とさないようにするには、このくらいが許容できる限界ではないか、ということになったのです。モバイルギアもキーピッチは16.5mm。そこはクリアしないといけない」
渡邉「NECとしても、(Android端末としては)タブレットがあるし、2画面タイプもあり得る。バリエーションがいろいろあるなかで、もちろんキーボード付きもあり得る、という話はしていました。そこで花岡の考えが幹部の考えとも合致したので、『タブレット以外にもキーボードに特化した端末をやろう』ということになり、一昨年の年末にゴーサインが出た、という経緯です」

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