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Sandy Bridgeこと新Core iシリーズが登場 第2回

詳細解説 これがSandy Bridgeのアーキテクチャーだ

2011年01月06日 11時30分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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図12

図12 Sandy Bridge内蔵GPUの構造

 ただし厳密に言えば、Clarkdaleの世代と比べると、ディスプレー出力部の外部化は、GPU性能に若干のネガティブインパクトを与えるだろう。Clarkdaleの世代では、GPUとディスプレー出力、さらにメモリーコントローラーやPCI Express/DMIなどのI/Fをまとめてひとつのチップとし、これとCPUコアの間をチップ間I/F「QPI」でつなぐという構造だった。

 この結果、GPUからのメモリーアクセスは速いものの、CPUコアからのメモリーアクセスは(QPIを経由する分)レイテンシーが増えるという結果になっていた。Sandy Bridgeでは逆に、CPUコアのそばにメモリーI/F(System Agent)が配置され、GPUは逆に一番レイテンシーの長い(片方向あたり4サイクルだが)場所に置かれることになってしまった。

 もちろん、典型的な2D/3D描画であれば、GPUはひたすら映像を生成してラスタライズし、それをメモリーに吐き出すだけなので、多少レイテンシーが増えても問題はない(テクスチャー読み込みは発生するから、ここには多少のインパクトはある)。だがMedia Processingや後述するビデオエンコーディング、あるいは今後のGPGPU的な用途では、このレイテンシーの大きさはそれなりにネックになる。

 おそらくはこのデメリットを緩和する目的と思われるが、GPUからLLCに直接アクセスが可能ということが発表されている。ただし、GPUからLLCにどういう形でアクセスできるのか(キャッシュコヒーレンシがCPUコアとGPUの間で保たれるのか)は、現時点でも明かにされていない。恐らくは、LLCの一部をGPU用に割り当て、その分CPUから見えるLLCの容量が減るといった実装になるのではないかと想像されるが、今のところはっきりしない。

 話を戻そう。Sandy BridgeではEUの数は同等もしくは減るが、インテルによれば、各々のEUのスループットはIntel HD Graphics世代と比較して倍になるという。これと駆動周波数の増加の効果により、描画性能は倍以上に引きあがるとしている(Intel HD Graphics 3000の場合。Intel HD Graphics 2000でも同等以上)。ただし長らく望まれていたDirectX 11対応は今回もなく、あくまでDirectX 10.1対応に留まっている。

 その代わりというわけではないだろうが、ビデオ周りの処理は大幅に強化された。従来はHDビデオ向け各種フォーマットのデコードはハードウェアで可能だったが、トランスコードなどやエンコードはCPU側で処理する必要があった。またビデオデコードに関しても、全機能を専用ハードウェアで行なっていたわけではなく、一部はEUを使って実装していた。Sandy Bridgeでは、これらをすべて専用ハードウェアで実装しており、従来より高速かつ低CPU負荷でビデオのエンコード/デコードが可能になっている。


 簡単にSandy Bridgeの主要なアーキテクチャーを解説してみた。細かい部分では、例えばメモリーI/Fは「DDR3-1333までのサポート」となっているが、実際にはDDR3-1600でも問題なく動くといった特徴もある。

 また、速度をPCI Express Gen2相当の5GT/秒に引き上げた「DMI 2.0」が採用され、省電力周りを拡張することで、動的に速度を2.5GT/秒に下げたり5GT/秒に戻したりという機能を持っているなど、いろいろと小技が導入されている。

 そのほかにも、省電力化のためのClock GatingやPower GatingがGPUにも本格的に採用されて、より効果的に省電力化が可能となっているなどの改善も導入されている。これまでの説明でもたびたび触れたことからわかるように、Sandy Bridgeのアーキテクチャーは性能向上だけでなく、省電力化にも一層注力した設計になっていると言えるだろう。

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