9月13日(現地時間)より米国サンフランシスコ市にて、米インテルの開発者向けイベントである「Intel Developer Forum 2010」(以下IDF)が開催された。まずは、初日に行なわれた基調講演の模様をレポートする。
今回のIDFの中心となる話題は、2011年初頭に登場予定の新しいマイクロアーキテクチャーである「Sandy Bridge」だ。現在の「Nehalem」アーキテクチャーを置き換えることになるSandy Bridgeは、内蔵グラフィックス機能(iGPU)をCPUと同一のダイに集積し、キャッシュを共有する。さらに、CPUとiGPUを合わせてターボ・ブーストを行なうため、Nehalemマイクロアーキテクチャーに比べて、よりクロック向上の余地が高い。
また、256bit幅とこれまでのSSEの倍となるSIMD演算命令「AVX」を装備することで、メディア処理などの性能を向上させることができる。ほかにも、CPUに直結したiGPU部分でのメディアアクセラレーション機能も持つという。
一連の企業買収は
「Computing Continuum」実現のため
基調講演に最初に登場したのは、インテル社長兼CEOのポール・オッテリーニ氏(Paul S. Otellini)氏である。オッテリーニ氏はまず、現在では1日に100万台のPCが販売されていると述べ、PC業界がまだまだ成長していることを示した。その理由として、新興市場での可処分所得の増大とPCへの指向、そしてPCがさらに個人的な製品になっていることの2つをあげた。
その結果、インターネットには50億台ものデバイスが接続されており、そのうちの28億台は、「スマートデバイス」と呼ばれるものだという。これらスマートデバイスは、2014年までに50億以上となると予想されており、ユーザーはよりよい経験を提供するものを選択して、特定のひとつのデバイスだけが普及するということはあり得ないだろうとの予測を披露した。
ここで、オッテリーニ氏は、最近インテルが提唱している「Computing Continuum」の話を始める。インテルはPCをベースに、インテルアーキテクチャー(IA)の利用範囲を広げることを狙っている。IAは組み込み分野やバッテリー駆動するハンドヘルドデバイスから、クラウドに使われるサーバーまでを提供する「連続体」だと言うのが、Computing Continuumなのである。そしてこれを完結させるために、2009年に買収したのが、組み込み向けソフトウェアに強い米ウインドリバー社である。
またオッテリーニ氏は、コンピューティングの3つの柱として「エネルギー効率とパフォーマンス」「セキュリティー」「接続性」をあげた。次世代となる22nmのプロセス開発も順調で、インテルの半導体は計画通りに性能を向上させるであろうとした。この優れた半導体技術を生かし、まずインテルではエネルギー効率を追求しつつも、同時にパフォーマンスを向上させることを基本としているという。
次なるセキュリティーに関しては、vPro技術と最近買収した米マカフィー社がその中心になる(関連記事)。マカフィーの買収も、Computing Continuumの考えに沿ったものであり、セキュリティーはインテルの製品を利用するサーバーから組み込み機器、モバイルデバイスに必要なものである。
もうひとつの「接続性」については、すでにインテル製品で無線LANとWiMAXを提供しているのだが、独インフィニオン社の無線部門の買収により、3GやLTEの提供も可能になるとした。こうした一連の買収も、Computing Continuumを完結させるためのもののようだ。
講演では「スマート」の未来として、いくつかのデモも披露された。例えばSandy Bridge搭載のノートによるオンラインゲームプレイや、グーグルが家電メーカーなどと開発中のネット機能搭載テレビ「Google TV」に対応した、ソニーのテレビや米ロジテック社のSTBなどが紹介された。また、インテルが2010年1月に発表した「Wireless Display Interface」(WiDi)を、Atomベースのマシンから利用できる様子を示すといったデモも行なわれた。