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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第90回

チップセット問題が響くインテル モバイルCPUの現状

2011年02月28日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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 インテルCPUロードマップのアップデート3回目は、モバイル向けである。ただし、1年半前に解説した第3回と異なり、Atom関連は別記とさせていただく。すでにインテルの中では、AtomはモバイルというよりもタブレットなどのMID(Mobile Internet Device)用途に大きく舵を切っている。一応ネットブック/ネットトップ向け製品もリリースしてはいるものの、一部の超小型ノートを除くと、ほぼCULV系製品で代替されてしまっている。

 またAtom自体がMIDやネットブックを超えて、携帯電話機や組み込み向けに広く展開を始めているので、モバイルの枠でくくるのも適切ではないからだ。

モバイル向けNehalemの本命
Arrandaleは2010年1月に登場

2009~2013年までのインテル モバイルCPUロードマップ

 2009年6月に掲載した第3回の記事では、Core 2系が上から下まで展開を済ませて、これに続いて「Nehalem」ベースの製品投入が間近というタイミングだった。まずは、このあたりから説明したい。

 2009年9月に、まずCore i7およびCore i7 Extreme Editionに向けて、「Clarksfield」ベースの製品が投入された。これはデスクトップ向けCore i7/i5である「Lynnfield」のモバイル向けで、当然GPUコアは統合されていない。

 したがって、別途独立したGPUが必要になるため、当然ハイエンドノート用にならざるを得ない。そんなわけでClarksfieldの時点では、ラインナップもCore i7以上に限られることになった。当初投入されたのは、「Core i7-820QM、720QM」と「Core i7-920XM Extreme Edition」の3製品。後追いで2010年6月に「Core i7-840QM、740QM」と「Core i7-940XM Extreme Edition」が投入された。

 これに続き、2010年1月には待望の「Arrandale」コア製品が一斉に発表される。こちらはご存じのとおり、デスクトップ向けCore i5/i3である「Clarkdale」のモバイル版で、Core i7/i5/i3の各セグメントの製品が同時に投入された。

 同時とは言っても、例えばCore i7で2010年1月に発表されたのは、通常版の「Core i7-620M、610E」と低電圧版の「Core i7-640LM、620LM、620LE」、超低電圧版の「Core i7-640UM、620UM、620UE」といったところ。このほかの製品、例えば「Core i7-660UM」は2010年5月に、「Core i7-680UM、660LM、640M」は2010年9月といった具合に、登場時期はかなりずれている。

 また、バリュー市場向けの「Pentium Dual-Core」に関しては、2010年5月にまず超低電圧版の「Pentium Dual-Core U5400」が投入された。通常版の「Pentium Dual-Core P6000」は2010年6月に、「Pentium Dual-Core P6200、P6100」は2010年9月にと、こちらもかなり後にずれることになった。

 面白いのは、Pentium Dual-Coreよりも先にローエンドの「Celeron」で、「Celeron P4505、P4500」が2010年3月に投入されていることだ。もっとも、こちらも「Celeron U3405、U3400」は2010年5月、「Celeron P4600」は2010年9月へと先延ばしになっている。当時のバリュー市場はCore 2ベースの製品でも十分間に合うし、価格もこなれていた。このクラスではもはや「性能で勝負」という製品ではないから、急いでArrandaleを投入する必要もなかったということだろう。

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