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鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第22回

CELL REGZAの画質を一部継承……その実力は!?

東芝「LED REGZA 47ZG1」の3D画質に迫る

2010年12月01日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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3Dの立体感は十分だが
クロストークが少し気になる

 いよいよ本機の最大の特徴である画質について紹介していこう。まずは注目の3D映像だ。文句のつけようがない3D画質を実現した「CELL REGZA X2」と、画質に関わる部分で大きく異なるのは、バックライトの駆動制御。CELL REGZAは直下型LEDで、クロストーク低減のための黒挿入を16分割で行なうが、エッジライト型のZG1は上下2分割となる。

 また、2D3D変換に関しては、約1400枚のサンプル画像と入力映像を照合し、特徴が合致するものに対して最適な奥行き設定を割り当てる「ベースライン3D」を搭載。 ただし、視界の中で手前の物体ほど早く動く、という特性を生かして動き検出を行なう「モーション3D」や、人物の顔を検出して人型の奥行きデータを割り当てる「フェイス3D」などは搭載されていない。

3D設定の画面。3D映像出力の際の注意文表示のオン/オフなどが切り替えできる。3D映像に関する微調整などは搭載しない

3D設定の画面。3D映像出力の際の注意文表示のオン/オフなどが切り替えできる。3D映像に関する微調整などは搭載しない

リモコンの「3D」ボタンを押したときに現れる3Dメニュー。2D3D変換機能も備える

リモコンの「3D」ボタンを押したときに現れる3Dメニュー。2D3D変換機能を備える

3D視聴時の注意文。初回以降は表示させないようにすることもできる。目の疲れや体調への配慮だけでなく、3D映像に手を伸ばしたとき、周囲の人や物にぶつからないように注意をうながしている

3D視聴時の注意文。初回以降は表示させないようにすることもできる。目の疲れや体調への配慮だけでなく、3D映像に手を伸ばしたとき、周囲の人や物にぶつからないように注意をうながしている

 実際の画質は、CELL REGZAの実力を継承した――と、言いたいところだが、本機の場合、左右の映像が混ざって、映像が2重に見えてしまうクロストークがやや多い。

 人物の右または左に陰のような映像が映るだけでなく、雑踏を映したようなシーンではディテール(細部)が二重写りのようになってしまって見づらいと感じることがある。本機はCELL REGZAや他社の3D液晶テレビと違って、IPS液晶パネルを使用しているのが原因のひとつかもしれない。

2D3D変換では、効果設定を5段階に調整できる。上が「01」で下が「05」。映像のブレは大きめだが、3D感は映像によってはあまり感じにくい

2D3D変換では、効果設定を5段階に調整できる。上が「01」で下が「05」。映像のブレは大きめだが、3D感は映像によってはあまり感じにくい

 3D映像の立体感はなかなかのもので、特に奥行き感や、パノラマ的な映像での見晴らしの良さはなかなか気持ちがいい。それだけにクロストークの多さはちょっと気になるところ。

 2D3D変換は、映像の種類によって3Dらしく見えるものと、ほとんど効果が得られないものとにはっきり分かれる。ユニークなのは、海岸線を映した映像など、地面と海、そして空がはっきりと分かれた映像では、水平線までの映像をなかなか奥行きのある映像として再現できていること。CELL REGZAの2D3D技術の一部を受け継いでいることもあり、相性の良いソースでの3D感はなかなか良好だ。

 サイド・バイ・サイドの3D映像も超解像技術の採用で、なかなか精細感があり、鮮明な立体映像が楽しめるなど、素性としてはよくできている。ただしクロストークは目の負担も大きいので、これに関しては改善の余地ありだ。

 トータルで言えば、3D表示に過度な期待をしてしまうと、がっかりしてしまうことになりそう。これについては、実際に購入する予定の画面サイズのモデルで3D映像を確認してほしい。


4倍速駆動の恩恵!?
より豊かな表現が可能になった2D画質

映像調整のメニュー。左が基本設定で、右が詳細調整。LEDバックライトの駆動など、さまざまな設定項目がある

4倍速表示の設定では、画像補間によって滑らかに動画を再現する「スムーズモード」と、毎秒24コマのフィルム素材用の「フィルムモード」がある

4倍速表示の設定では、画像補間によって滑らかに動画を再現する「スムーズモード」と、毎秒24コマのフィルム素材用の「フィルムモード」がある

 本機の真骨頂は何と言っても2D画質の優秀さだろう。その画質は、明るく輝きのある映像に加え、質感を豊かに描く情報量の多さ、忠実感のある色再現など、かなり豊かな表現力を備えている。4倍速表示により動きもよりスムーズになっており、素早い動きでも映像のボケが少なく、鮮明な動きを楽しめる。

LEDエリアコントロール設定は、オフ/弱/中/強の4段階。「強」にすると画面がすっと黒く沈むのがわかるが、暗部の再現もやや潰れ気味になる

LEDエリアコントロール設定は、オフ/弱/中/強の4段階。「強」にすると画面がすっと黒く沈むのがわかるが、暗部の再現もやや潰れ気味になる

 LEDエリアコントロールは4段階の設定が可能だが、無理矢理黒を沈めるよりも、階調性をきちんと再現できる「弱」や「中」あたりの方が、本機の良さをじっくり味わえると感じた。コントラスト感としては十分で、見た目に近い自然な映像再現を味わえる。

超解像技術のレベル調整の比較。左が「01」で、右が「05」。HD映像でも精細感の向上がわかる。花飾りのディテール感もより精密になり、輪郭の乱れや不自然な強調感も少なめ

 超解像技術の効果も、不自然な強調感もあまり目立たず、より精細な映像になる。DVDなどのSD映像だけでなく、テレビ放送やBDソースでも効果が確認できる。地デジなどでは基本的にオン(レベル調整は控えめが良い)で使えるし、BDソフトもタイトルによっては、ややソフトな映像なものもあるので、好みによって使い分けるといいだろう。

 トータルでの映像はZ1よりもさらに完成度が高まっている印象で、色乗りの良さもより豊かになっており、映像に力強さを感じる。この実力は液晶テレビとしては随一のものと言っていいし、2D表示だけでも十分満足できるものだ。

 期待の大きかった3D映像がやや残念な結果だったのが惜しいが、この2D画質はそれだけでも十分な価値がある。3D映像に関しては、各社とも多少の差はあるが、クロストークが皆無というわけではなく、現時点で購入する場合はどこまで妥協できるかを考えざるを得ないのは同じだ。

 むしろ3D画質にはあまりこだわらず、2D画質に優れたモデルを探している人には、特におすすめしたいモデルだ。


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