ドックにはDisplayPort出力とDVI出力が2系統ずつ、さらにアナログRGB出力が1系統装備されている。ただし、DisplayPort出力とDVI出力はひとつずつのセットになっており、どちらか一方にしか出力できない。例えば1番のセットのDisplayPort出力を使っている最中は、1番のDVI出力は使えない。そのためドックから同時出力できるのは、アナログ1+デジタル2の最大3画面となるわけだ。
4画面出力には特になにも特別な設定は必要なく、3枚のディスプレーをドックにつなげて電源を入れれば、ごく普通に4画面が表示される。ディスプレーの配置や解像度も、Windowsでの一般的なマルチディスプレー環境と同様に変更できる。試用機では4画面すべてを横に並べてみたが、デスクトップの配置は自由に変えられる。
デバイスマネージャーで調べてみると、T410s本体ディスプレーとドックのアナログRGB出力はCPU内グラフィックスから出力されているが、ドックのデジタル出力側はNVS 3100Mから出力されていることがわかった。そのためデジタル出力側のデスクトップ上でNVIDIAコントロールパネルを表示してみると、T410s本体側では表示されないディスプレーの設定が表示されたりする。
とはいえ、どこの出力につながっているかをユーザーが意識する必要はない。4画面表示時でも、独立GPUを使うアプリケーションのウインドウは、独立GPUで描画される。
ノートパソコンでヘビーな仕事するビジネスユーザー向け
T410sはNVIDIAの独立GPUを積んではいるが、NVS 3100Mはゲーム用GPUというわけではない。レノボやNVIDIAもそういうアピールはしておらず、どちらかと言えばNVIDIA CUDAに対応したアプリケーションやビデオ表示・編集アプリケーションをより快適に使うもの、あるいはノートでの多画面出力を実現するためのもの、と考えるべきだろう。
GPU自体のスペックも、ノート用GPUとしてはエントリークラスの「GeForce 310M」と同程度なので、目を見張るような高性能というわけではない。ただし、貧弱なCPU内グラフィックスCPU内グラフィックスよりは、はるかに高性能である。今後はInternet Explorer 9のように、ウェブブラウザーでもGPUを駆使するようになると(関連記事)、その快適さがごく普通に実感できるだろう。
ベンチマーク的な表示速度以上に、やはりノートで多画面をごく普通に使えるのはありがたい。記者の場合、ソニーの「VAIO Z」をドックに乗せて、本体とドックで2画面を表示しながら、さらに小型のUSBディスプレーをつないで3画面表示の環境で仕事をしている。本当はもう1画面欲しいくらいなのだが、サイズや表示性能が限られたUSBディスプレーでは、できることも限られる(記者はメーラー専用にしている)。
そうした制約なしに、ノート1台で4画面までのディスプレーを使えるのは実に快適だ。デスクでは多画面を駆使してバリバリ仕事をこなし、会議や出張にはそのまま本体を持って出て、データや環境の同期など気にせず、いつものようにどこでも仕事をこなす。T410sとドックのコンビは、ハイパフォーマンスモバイル1台でどんな仕事もこなしたいビジネスユーザーにお勧めしたい製品と言えよう。
ThinkPad T410s(Optimus対応モデル、試用機) の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core i5-560M(2.66GHz) |
メモリー | 4GB |
グラフィックス | NVS 3100M(Optimus対応)、CPU内蔵 |
ディスプレー | 14.1型ワイド、1440×900ドット |
ストレージ | HDD 250GB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
無線通信機能 | IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 2.1 |
インターフェース | USB 2.0×2(1ポートはPowered USB)、USB 2.0/eSATA×1、DisplayPort出力、アナログRGB出力、10/100/1000BASE-T LAN端子など |
サイズ | 幅337×奥行き241.5×高さ21.1~25.9mm |
質量 | 約1.79kg |
バッテリー駆動時間 | 約4.7時間 |
OS | Windows 7 Home Premium 64bit |
直販価格 | 21万5880円(キャンペーン価格、本稿執筆時点) |
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