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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第81回

星占いサイト「筋トレ」は、なぜラッキーカラーを紹介しないのか

2010年10月12日 12時00分更新

文● 古田雄介

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「占いを発信している身として罪悪感もあります」

―― 占いに対しての線引きがとても明確ですね。だからこそ、多数のメディアで発信できるのかなと思いました。現在のように商業ベースで書こうと考えるようになったのは、いつ頃ですか?

石井 いえ、占いでお金をもらうなんて考えもしなかったです。自分を占い師とも思ってないですし。Wikipediaの自分の項目には占い師と書かれていますけど、「違うよ!」と(笑)。

 それでもお仕事をいただくようになったのは、大体3~4年前だと思います。「筋トレ」読者に編集者の方がいて、話を持ちかけられたのが最初ですね。その後もそういう機会を何度かいただいて、じわじわ増えていった感じで。それで、バイトを辞めて文章だけで食べていくようになったのが、一昨年くらいだったと思います。

―― 現在は「筋トレ」を続けながら、ネットや紙の媒体で5つの連載をされつつ、毎日Twitterで12星座の日報を書き、年末には新年の12星座本を出されたりと、相当な量をやられていますね。一日のスケジュールを教えてもらってもいいですか?

石井 そうですね……私の場合、ストックのアレンジを出すような形ではなく、各媒体にあわせて毎回書き下ろします。だから毎日のように締め切りが来ます(笑)。一日の過ごし方としては、朝起きたらまず洗濯機を回します。で、Twitterで日報を書いて、書きあがったら洗濯物を干します(笑)。その後、それぞれの媒体の記事を書いて……。そうやってずっとパソコンの前で指を動かしていると、大体夕方になっています。忙しいときに限って途中でmixiやブログ、Twitterをやってしまったりするので、純粋に仕事だけじゃないんですけど。

 1年を通してみると、雑誌などの年間占いの特集があるので、年の後半は、一日のノルマが終わるのはさらに遅くになりますね。

毎朝、洗濯機を回したら書きはじめるというTwitterの「日報」。かなりの人数がお気に入りに入れるため「ふぁぼったー」で目にすることも多い

―― ストックできないのはキツいですね。日報があるから、本当に休みがない毎日という。

石井 元旦に「今年はこの日とこの日は休む! ここは旅行に行く!」と決めて、1年を通してそれを守ってやっていくみたいな感じなので、若干予定を浸食しつつも、何とか休めています。ちなみに、旅行については、今はノートパソコン一台あればどこでもネット環境が確保できるのでかなり楽になったとは思いますね。海外旅行にも行きましたが、その間も普通に日報や週報を更新していたので、けっこう読み手からはわかんなかったりします。いや、すぐ見抜く方もいらっしゃいますが(笑)。

―― 占い三昧の日々ですね。それでいて、占いに対してドライな視点も持たれている。そこであえてお聞きしたいんですが、石井さんは占いに対してどんなスタンスで向き合っているんですか?

石井 個人としてはすごく面白いものだとは思っています。占星術自体は何の科学的根拠もないし、インチキかもしれないわけです。ただ、人間はとても古い時代から、不安な気持ちを安心させたり、どうすることもできない事態に対して感情的に納得したりするために、この「占い」というものを手放さずにきました。

 本当は占いなんかに頼っちゃダメだってみんなわかってるんですよ。自分で考え、勇敢に人生に立ち向かわなければいけない。でも、それがどうしてもできないとき、占いが「心の痛み止め」や「お守り」になってくれてしまう。タバコやお酒みたいに本当はない方がいいんだけど、人はどうしてもそれを必要とすることがある。ない方がいいけど、どうしようもなくあるもの。占いっていうのは、そんなものだと思っています。

 だから、占いを発信している、雑誌にも書かせていただいていることは正直、罪悪感があります。読者から「占いに良いことが書いてあったから期待したのに、何もなかった、ガッカリした。読まなかったらガッカリしなくて済んだのに」と言われることもあります。これはもう「当たらない占いなんてやっててすいません」と謝るしかできません。占いは気分をプラスにしてこそなのに、期待を裏切ってゼロからマイナスにしてしまったわけですから。

 こうした問題はどうにも、解消のしようがないです。ここでいろいろ理論武装して開きなおることもたぶん、できるんですけど、私はそれをしたくないんです。そこを批判されることもしょっちゅうあるんですが、そこで開きなおることがどうしても、正直な態度だとは思えないんです。

近々では、2010年9月に、WAVE出版から、各星座の傾向や運勢、他の星座との違いや相性などをまとめた『12星座シリーズ』を発行した。1星座につき1冊で、合計12冊となる。通常のスケジュールに加わり、かなりの多忙を極めたという

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