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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第61回

AMDのプレッシャーに苦しんだNetburst世代のインテル

2010年07月26日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

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Netburst Architecture世代のインテルCPUロードマップ

Netburst Architecture世代のインテルCPUロードマップ

AMD K8への対抗策として、
HyperThreading TechnologyをPentium 4に導入

 これに続いて登場したのが、2002年の「Northwood」コアである。プロセスを130nmにシュリンクし、2次キャッシュも倍に増やした構成で、消費電力もやや下がったこともあって広く利用される。

NorthwoodコアのPentium 4

NorthwoodコアのPentium 4

 このNorthwoodをベースに、「HyperThreading Technology」(HTT)を有効にして2プロセッサー対応としたのが、「Prestonia」コアのXeon。これに1/2/4MBの3次キャッシュを追加し、4プロセッサー対応としたのが「Gallatin」である。

 このあたりまで、インテルは順調に製品を展開してきたが、この先で変調が起きる。直接的な契機は、AMDが「K8」アーキテクチャー(OpteronやAthlon 64)を発表したことだ。アーキテクチャーそのものが発表されたのは2001年だが、2002年10月に開催された半導体業界の国際会議「MicroProcessor Forum」で、AMDは「Hammer」と呼ばれていたK8アーキテクチャーの性能を公開する。2003年にはこのK8アーキテクチャー製品の市場投入が予定されており、これはインテルにとって大いなる脅威となることが十分予測された。

 ところが実際はというと、AMDは130nm SOIプロセスで大幅にもたつき、結局まともに競合できる製品が投入されるのは1年以上遅れることになった(関連記事)。だが、2002年の時点でそんな予測はどこにもなく、結果インテルはあわててPentium 4ラインの性能底上げを決意する。

 具体的には、まずFSBを533MHzから(667MHzをスキップして)800MHzに引き上げることと、デスクトップ向け製品にもHTTを有効にすることである。もともとHTTはNetburst Architectureの一部であり、Willametteの世代からこれはインプリメントされていたが、単に無効にされていただけだった。性能の底上げを図るには、HTTを有効にするのが効果的(というかほかに方法がない)と判断されたようだ。

 もっとも、HTTを有効にすると消費電力も若干あがるため、2004年までの製品ラインナップではHTTを有効にしたモデルと無効のままのモデルが併売される。HTT有効品は「Pentium 4 with HT Technology」、無効品はただのPentium 4として発売されていた。

 さらにAMDへの対抗策は続く。AMDは当初、デスクトップ向けの754pin「Athlon 64」では性能が低すぎ、インテルへの対抗が難しいと考えた。そこで本来サーバー用の「Opteron」向けに用意された製品を、そのままハイエンド(エンスージャスト)向け製品として、「Athlon 64 FX」なるブランドで販売を開始する。

 インテルはこれへの対抗策として、Xeon MP向けに用意されたGallatinコアをそのまま流用する形で、急遽「Pentium 4 XE」(Xtreme Edition)なるブランドを立ち上げ、製品を投入した。

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