65nmプロセスで消費電力面は挽回も
AMDとの性能ギャップは詰められず
それでもインテルは遅まきながら、次の65nmプロセスでは省電力対策をみっちり行なってきた。これを使った「CederMill」コアのPentium 4や、これをMCMでデュアルコア化した「Presler」コアのPentium Dなどでは消費電力も下がったので、大分使い勝手は良くなってきた。
だが、この頃にはAthlon X2の性能が大幅に上がっており、今度は絶対的な性能面で大きなギャップが生まれてしまう。これはCore 2 Duoが登場するまで解決しなかった。
ちなみに、Pentium 4 XEの製品ラインも引き続き維持されており、2005年2月にはPrescott-2Mに1067MHz FSB対応を施した動作周波数3.73GHz版を投入。続いて2005年5月には、製品名を「Pentium XE」に変更し、SmithfieldベースながらHTTを有効化(つまりOSからはCPUコアが4つに見える)したものを投入する。
2006年1月には、Preslerベースの製品に更新するが、XEのシリーズは発熱がピークに達し、その一方で性能の底上げはそれほど実現できなかった。現在でもクアッドコアCPUをフルに使える環境は、コンシューマーレベルではなかなかない。2005~2006年頃はさらに環境が整っていなかったから、ほとんどのケースで性能向上はわずかでしかなかった。
こうした問題に比較的無縁だったのは、Celeronのマーケットである。Willametteの2次キャッシュを128KBに減らした「Willamette-128K」から始まり、「Northwood-128K」「Prescott-256K」「CederMill-512K」と、メインストリーム向け製品の2次キャッシュを半分(場合によっては4分の1)にしたうえで、FSBを1段遅くするという形で製品投入が続けられた。
幸い(?)なことに、メインストリーム向けCPUがどんどん消費電力と発熱が増え、PCメーカーもこれに対応する製品の品揃えを増やした。そのため、Celeronのようなバリュー向け製品でも、消費電力増に起因する追加コストはほとんどなかった、というのがその理由であろう。ちなみに2003年あたりから、本格的にPentium MベースのCeleronが投入されたこともあり、途中で商品名が「Celeron D」に切り替わっている。
混迷深めるP4世代のサーバー向けCPU
ここまではおおむねデスクトップ向けCPUの話だったが、さらに混乱かつ迷走を極めたのがサーバー向けCPUである。なにせサーバー向けは価格が高い分、利益も非常に大きく、ここで100%近いシェアを握っていたのがインテルの強みだった。そこでAMDのシェアが伸びることは、非常に大きな影響がある。
ところが、90nm世代以降のインテルのサーバー向け製品は、明らかにAMDのOpteronに押されており、ここで何とか挽回する必要があった。とは言ってもない袖は振れないわけで、とりあえず手持ちのCPUで何とかする必要があった。まず2プロセッサーシステム向けには、Prescottをそのまま2プロセッサー対応とした「Nocona」を2004年6月に投入。続いてPrescott-2Mを2プロセッサー対応とした「Irwindale」を2005年2月に投入する。
もっと深刻なのは、Xeon MP向けであった。Gallatinコアの後継製品はかなり前から開発にかかっていたにも関わらず難航。内容的には、Prescottコアに大容量(4/8MB)の3次キャッシュを組み合わせたものであるが、当初の予定を半年ほど過ぎた2005年3月にやっとリリースできた程度だ。これはさすがにGallatinベースの製品登場から時間が経ちすぎていたし、また動作周波数が3.33GHzどまりと、Gallatinからそれほど上がっていないのも問題であった。
そんなこともあり、同時にリリースされたのが、Prescottそのままのサーバー向けMP製品「Cranford」である。公式な発表はその前世代に当たる「Potomac」と同時だったが、実際はPotomacの遅れをカバーするために、結構早く顧客にリリースされていたという話もある。64bit対応を始めたいベンダーも少なくなかったはずで、あるいはこうしたベンダーに開発用機材の名目で先行出荷していたのかもしれない。
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