Intelチップセットの歴史 その3
RDRAMから逃れてi845~865で盛り返したPentium 4世代
2009年11月30日 12時00分更新
初のPentium 4用チップセット「Intel 850」
トータルコストの高さで泣かず飛ばす
さて、今回はPentium 4のチップセットに関して話をしたい。話は1996年に遡る。同年12月にインテルとRAMBUS社は、共同開発契約を締結する。この契約では、インテルは「Direct RDRAM」をPCのメインストリーム用チップセットに使う必要がある一方で、Direct RDRAMに関わるライセンス料を安くするというものだった。これに基づきPentium用に「Intel 820」や「Intel 840」といったチップセットをリリースするわけだが(関連記事)、この契約の軛はPentium 4用チップセットにも掛かってくることになった。
その結果、インテルは2000年に、Pentium 4用チップセットとして「Intel 850」をリリースする。構造的にはIntel 820をPentium 4用としたような構造であった。Intel 820の時のようなトラブルはなく、また性能面でも見劣りするものではなかったが、いかんせん状況が悪かった。
まずPentium 4自体が高価であった。しかもCPUの消費電力が大きいために従来のATX電源ではCPUの動作に必要な12V系の供給電力が足りず、新たに4ピンの12Vコネクターを追加する措置が必要になり、電源の買い替えも必要になる。トータルコストはさらに高くつくことになった。
このうえさらに、高価なRIMM(RDRAMのメモリーモジュール)を購入しろ、というのはやはり難しいものがある。加えて言えば、Direct RDRAMを利用するマザーボードは当初4層基板では製造できず、6層で製造されることになり、これがさらにトータルコストを押し上げた。しまいには、Pentium 4のパッケージにPC800 RIMMが2枚同梱されるというキャンペーンまで行なわれたが、それでも売れ行きは芳しいものとは言えなかった。
Intel 850にやや遅れて、ワークステーションをターゲットに2プロセッサー構成を取り、最大8枚までのRIMMが装着できる「Intel 860」が登場。さらにその後、Pentium 4が533MHz FSBをサポートしたのにあわせ、これに対応した「Intel 850E」も登場するが、こちらもさっぱりという状況であった。
インテル・RAMBUS以外のベンダーはDDR SDRAMで結集
その一方、競合ベンダーは合同で、PC用メモリーとして「DDR-SDRAM」を積極的に推し進める。まず「Advanced Memory International」(AMI2)という非営利団体(すでに存在せず)が旗振り役となり、「Team DDR」なるキャンペーンを打ち立てる。このAMI2の会長を務めたデジー・ローデン(Desi Rhoden)氏は、メモリー技術の標準化団体「JEDEC」で、DDRやDDR2の担当理事長。ようするに、PC向けのメインメモリーをRAMBUSの独自仕様ではなく、JEDECの標準仕様に引き戻そうという勢力であった。
2000年のMicroProcessor Forumにおけるリリースでは、AMI2/JEDECのほかALi/AMD/ATI/FCI/Infineon/InterWorks/Micron/NVIDIA/SiliconTech/VIA Technology/ヒュンダイ/サムスン電子といったメンバー企業が、Team DDRに名を連ねた。その後SiSやTransmetaなども参加しており、ようするにインテルとRAMBUS以外の主要PCコンポーネントベンダーのほぼ全部が、このTeam DDRに参加したことになる。
この中で問題はVIAであった。VIAはPentium 4向けにDDR2をサポートしたチップセット「P4X266」をアナウンスすることで、インテルを猛烈に刺激。結果、両者のバスプロトコルライセンスを巡る争いが激化するのだが、ここではその話には触れない。
結局2001年に、インテルはDirect RDRAMをメインストリーム向けメモリーとすることを断念。2001年9月にRAMBUSと広範なクロスライセンスを改めて結び(関連リンク)、これにより1996年から続いたDirect RDRAM縛りの軛から逃れることに成功する。
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