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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第72回

犬がしゃべる料理動画「COOKING with DOG」大人気の秘密

2010年05月25日 12時00分更新

文● 古田雄介

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番組がいつまでつづくかは、わんちゃんの体力次第

―― 第1回から構成が統一されていますが、回を重ねるごとに若干の改良が加わってますよね。おっしゃるとおり、最初の3回まではシェフの台詞は一切なくて、やや固い印象で黙々と料理をされていました。でも、4回目の「ブリの照焼き」から最初の挨拶が入って、カメラ目線も入れるようになり、今ではすごくパーソナリティが出ています。これは慣れからですか?

シェフ 何回か動画がアップされたとき、自分の映像を見て、動きが固いし、なんか嫌々やっているように見えたんです(笑)。それからはなるべく笑顔を心がけるようになりました。やっぱり見てる人もそのほうがいいでしょうし。まだ全然余裕はないですけど。

プロデューサー 「最初の頃は嫌々やってたけど、最近なんかやる気になってる」というコメントも書かれましたからね(笑)。

 あと、最初に挨拶を持ってきたり、最後に食べたときのコメントを入れるようにしたのは、私の判断です。最初の数回をアップしたあとに、ロサンゼルスでお世話になった編集の第一人者の人からアドバイスをもらったんですよ。

 「シェフもちょっとしゃべってみたりして、キャラクターを出したほうが見ている人も面白いよ」と。それまでは、シェフは出演に関しては素人だから、そういう部分をフランシスで補えばいいという考えだったんですよね。


―― なるほど。それと英語のナレーションですが、最初の頃はジャパニーズイングリッシュっぽかったのが、途中からネイティブに近いイントネーションになったり、回によって声の高さが違ったりしますよね。最初は「ネギ」と言っていたのが途中から「ロングオニオン」と言うようになったり。あれは何人かで担当しているんですか?

プロデューサー いや、あれはフランシスがしゃべっていることなので……(笑)。たまに「今日はフランシスが風邪引いてる」といったコメントもいただくんですけど、実際は風邪も引いていないですし、『声変わり』も起きていないんですよね。

 プロのナレーターの方は常に一定の音質で話すことができますが、やっぱりフランシスも素人ですから。朝と夜で声色が変わったり、マイクとの距離が一定じゃなくて声量に差が出たりしてしまうんです。あと、英語のしゃべり方が変わっていったのは、単に慣れの問題だと思います。最初の頃は滑舌よく一生懸命しゃべっていたのが、段々と力が抜けたということでしょう。

 あと、語彙に関してですが、途中からカナダ人の男性などがナレーション原稿の校正を申し出てくれたのが大きいと思います。語彙だけでなく、文法も分かりやすく直してくれましたね。


―― わかりました。では、今後の目標を教えてください。

プロデューサー このまま続けていって、市場でしっかり評価されるくらいのコンテンツに育てたいというのがあります。YouTubeには、動画の下にポップアップされるものや横にある画像など、色々な広告があるんですけど、1日10万回くらい再生されるようになれば、そこからの収入もある程度出てくるかなと。

 やるとしても1年後以降ですけど、今までの動画をDVDにしたいというのもあります。ただDVDというパッケージにこだわっているわけではなく、独立したコンテンツとして提供するかたちもとりたいと思っているんですよ。そのときになって採用するメディアは、iPadやiPhoneかもしれませんけど。


―― ではCWD自体は今後もずっと続けていくわけですね。

シェフ うーん、フランシスがだんだん歳をとってきて、今は8歳と3ヵ月なんです。だからだいぶ疲れが出てきていると思うんですよ。普段でもよく寝ているんですよね。だから収録時も広めの台を用意する予定なんです。

プロデューサー 収録時も、ワイドのときだけフランシスに出てもらって、クローズアップのときは休ませていますしね。

シェフ だから、本当に「フランシス次第」ですかね。私自身、お料理はいつまでもできるわけですから。

キッチンの様子。プロデューサーは「犬がいる料理番組」について話す。「テレビだったら、犬と料理を組み合わせた番組を作ろうとしても、衛生面の問題からボツになると思うんですよね。でもそれは、インターネットだったらできるかもしれないと」



筆者紹介──古田雄介


古田雄介

 元建設現場監督&元葬儀業者&現古銭マニア&毎週仕事で秋葉原と都内量販店に足繁く通う毎日を送る現デジタルライター。「古田雄介のブログ」ではみなさんのお勧めサイトを募集中です。




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