ASUSTeK Computerの「TS mini」は、久々に登場したWindows Home Server(以下WHS)を搭載したホームサーバー専用機である。
WHSはWindowsベースのホームサーバー用OSだが、日本国内では自作市場に向けてDSP版としてOS単体が販売されていたり、ショップブランドの製品に一部採用されている一方で、国内大手パソコンメーカーではまったく扱われていない。以前はデルが、エントリーモデルのサーバーOSとして選択可能としていたが、現在では提供していないようだ。
WHSを採用した製品としては、2009年3月に発売されたエイサーのAspire easyStore H340以来と言える。日本の店頭では、影も形も見ないWHSサーバーだが、米国ではヒューレット・パッカードやレノボなどが、WHSを採用したホームサーバーを複数モデル販売しているように、家庭やSOHO向きのサーバーとして積極的に販売されている。それではTS miniはどのような製品だろうか。
ボディーは小さいが十分な拡張性
TS miniはB5サイズほどの大きさの、縦型のボディーをしている。サイズは幅96×奥行き204×高さ245mmで、エイサーのeasyStoreよりもコンパクトになっている。それもそのはず、TS miniはHDDを2台しか搭載できない構造だからだ。easyStoreは、3.5インチSATA HDDを4台搭載できる、フロントアクセス可能なドライブベイが用意されていたが、TS miniでは2台までしか内蔵できない。標準では1TBのHDDが内蔵されている。
内蔵分は少ないが、バックパネルにUSBポート6つとeSATAポートが2つ用意されている。WHSのドライブエクステンダー機能(関連記事)により、最大10台のHDDをWHSのストレージとして使える。TS miniはACアダプター(90W)で動作するため、本体内部に電源を持っていない。これもコンパクトに仕上がった理由だろう。そのかわり電源の能力を考えると、外付けのHDDはUSBバスパワー給電ではなく、外部の電源を使用すべきだろう。
ハードウェアスペックは、Atom N280(1.66GHz)とIntel 945GSE Expressチップセットというネットブックと同じプラットフォームで構成されている。メモリーは標準ではSO-DIMMタイプのDDR2-800が1GB搭載されている(最大2GB)。SO-DIMMの2GBメモリーがあれば、交換してメモリー容量を拡張する事も可能だ(ただしサポート外)。
メモリー用のSO-DIMMソケットは、マザーボードの裏側に用意されている。ケースを外せば、簡単にマザーボードの裏側にアクセスできるので、ケーブルを外したりしなくてもメモリーの拡張が行なえる。
ケースと内部の金属フレームを外せば、フレームの裏側にあるHDDベイにアクセスできる。テストしてみて良くできているなと感じたのは、このHDDの接続だ。ケーブル接続は不要で、HDDをベイに差し込むだけ。ベイ側にHDDコネクターが用意されているため、ベイに正しくはめ込めば自動的にHDDがコネクターに差し込まれる。これなら初心者でも、「ケーブルをどこにさせばいいのか」で迷う心配はない。
TS miniはWHS専用機として設計されているので、ディスプレーを接続するコネクターはない。そもそもTS miniを使うには、ディスプレーは必要ないのだ。しかしマザーボード上には、アナログRGB出力端子が用意されている。背面の目隠しをカッターなどで切ればアナログRGB出力を使えるようにもなる。完全に保証外になるが、やろうと思えばパソコンとしてTS miniを使う事もできそうだ(メリットはともかく)。

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