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週刊 PC&周辺機器レビュー 第50回

WHS搭載小型ホームサーバー TS miniは遊べるサーバー

2010年04月16日 12時00分更新

文● 山本雅史

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TS miniでは独自のWHSアドインが追加

 TS miniではWHSの機能を拡張する「アドイン」を使って、いくつかの独自機能が追加されている。もちろん、WHS用に提供されている汎用のアドインも、TS miniで利用できる。

ASUS Xtor Manager

ASUS Xtor Manager

サーバーのデータをUSBやeSATAのストレージに簡単にバックアップや同期できる「ASUS Xtor Manager」

 「ASUS Xtor Manager」は、TS miniのUSBポートに接続したHDDやUSBメモリーから、自動的にデータをWHS側の指定したフォルダーにコピーする。また、USB HDDやUSBメモリーの内容とWHS側フォルダーの内容を比較して、ファイルが更新されていたり、新しいファイルが作成されていれば自動的にフォルダーを同期して、最新の状態にしてくれる。

 この機能を利用すれば、デジタルカメラで撮影した写真をUSB経由でWHSにバックアップしたり、WHSの共有フォルダーにあるビデオを携帯機器に転送して、再生するといったことが可能になる。ただし、あらかじめ携帯機器で再生できるビデオフォーマットに変換しておく必要はある。また言うまでもないが、地デジ録画などの著作権保護がかかっているビデオは、携帯機器にコピーできない。

 もうひとつ面倒なのは、USBポートにHDDやUSBメモリーを挿せば、自動的にバックアップやフォルダー同期が始まるわけではないこと。手動で操作する必要がある。あらかじめ登録したHDDやUSBメモリーは自動的にバックアップや同期するようになれば、より便利になるだろう。

ASUS WebStorage

ASUS WebStorage

ASUSTeKのオンラインストレージサービスのアドイン「ASUS WebStorage」

 ASUSTeKの提供するオンラインストレージサービスを利用するアドイン。WHSに保存されているデータを、オンラインストレージにバックアップできる。インターネットを経由したバックアップはネットワークに負荷をかけるため、クライアントからTS miniへのアクセスに支障が出る場合もある。そのため、低速でのバックアップモードも用意されている。

 ASUS WebStorageは、最初の1年間は500GBが無償で、2年目以降は有償となっている。容量無制限は1年間3860円。ちなみにTS miniだけでなく、同社のノートパソコンなどからも利用できる。複数のパソコン間でデータを同期させることも可能。

ASUS System Web-based Management

 「ASUS System Web-based Management」(ASWM)は、TS miniのハードウェアやシステムの状況をチェックするアドイン。例えば、TS mini内部の温度やファンの状態、HDDの温度、エラー状況などをチェックできる。さらに、TS miniのBIOSアップデートもここからできる。

サーバーの状況を監視する「ASWM」

サーバーの状況を監視する「ASWM」。ケースファンの状態やマザーボードの温度などをリモートで監視できる

 そのほかにも、WHSに対応したアンチウイルスソフト「Avast!」の60日間期間限定の試用版がバンドルされている(インストールはユーザー自身が行なう)。価格は1年間のサブスクリプションで4947円。

 若干気になったのは、TS miniのCPUは低速のAtomなので、アンチウイルスソフトを動かすとサーバーのパフォーマンスが若干落ちるようだ。頻繁にHDDアクセスをしたり、ある程度CPUパワーを使用するためだろう。しかし、ホームサーバー内のファイルがウイルス感染していた場合のダメージを考えれば必要だろう。


WHSサーバーとしても遊べるTS mini

 TS miniはいろいろとハードウェアを拡張できるので、意外に遊べるサーバーという印象だ。アナログRGB出力を使えるようにしてディスプレーをつなげば、普通のWindowsを動かしたりできるし、パワーユーザーならLinuxベースのNASにしたり、Androidをインストールしたりすることもできそうだ。

 店頭実売価格は5万円弱と、一般的なNASに比べると高い。だが1TB HDDとAtomを使った小型パソコンと考えれば、それほど高価でもない。何よりも、x86プロセッサーを使用したサーバーのため、いろいろと遊び甲斐がある。単なるファイルサーバーとして利用するだけでなく、いろいろ手を入れて遊ぶのにぴったりのサーバーであろう。

コラム:WHSの今後のロードマップ

 WHSの日本語版が発売されたのは2008年8月。2009年末にはPower Pack 3がリリースされた。PPはWHSのサービスパック的存在で、新しいバージョンというわけではない。

 しかしこの間、WHSがベースにしているサーバーOSは、Windows Server 2003からWindows Server 2008、さらにWindows Server 2008 R2へと2回もアップデートされている。そこで、「WHSも新しいWindows Server 2008 R2ベースにアップデートされるのでは」と噂されている。

 2009年秋にWindows Server 2008 R2が正式リリースされたことで、WHSの新バージョン「Vail」(開発コード名)の開発が本格化しているという。VailはWindows Server 2008 R2をベースとしているため、64bit環境での動作となる。また使用できるHDDは、NTFSフォーマットのみとなるようだ。

 このVailの詳細に関しては、まだ不明なところも多い。Windows 7で採用されたホームグループへの本格対応や、アドインが購入できるマーケットプレースなども用意されるようだ。一方で、WHSが家庭向けサーバーという位置づけだったのに対して、Vailはもう少しSOHO向けなど、ビジネス寄りの機能が強化されるようだ。

 リリース時期は発表されていないが、現在プライベートβテストが進められており、2010年内にはリリースされると思われる。また、今夏前にはオープンβも始まるだろう。ただし、実際にVailを使用したWHS搭載サーバー製品のリリースは、2011年頃になるだろう。

TS miniの主な仕様
CPU Atom N280(1.66GHz)
メモリー 1GB
グラフィックス なし
ストレージ HDD 1TB
インターフェース USB 2.0×6、eSATA×2、10/100/1000BASE-T LAN
サイズ 幅96×奥行き204×高さ245mm
質量 約3.3kg
OS Windows Home Server日本語版 Power Pack 3
実売価格 4万9800円程度

お詫びと訂正:掲載当初、スペック表に誤記がありました。ここに訂正するとともに、お詫びいたします。(2010年4月17日)

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