2月23日、EMCジャパンは神奈川県の川崎市にあるラボにおいて、Symmetrix V-Maxに関する説明会を行なった。新機能紹介や自動階層化機能であるFASTのデモのほか、Symmetrix V-Maxの実機を見るツアーも実施された。
進化し続けるSymmetrix V-Max
説明会では、まずEMCジャパン テクノロジー・ソリューションズ本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 笹沼伸行氏により、本日日本で正式発表された同社のハイエンドストレージ「Symmetrix V-Max」の新機能について紹介された。一部はケン・シュタインハート氏のインタビューでも言及されているため、あわせて参照してもらいたい。
まずはメインフレームのFICONとオープンシステムでFCで、8Gbpsのインターフェイスが提供開始された。「FICONで8Gbpsが業界初。メインフレームとオープンシステムでFCとFICONの両方をサポートしたのも初めて」(笹沼氏)とのこと。
ストレージ容量の仮想化を行なうバーチャルプロビジョニングも、機能強化された。まず「TimeFinder/Cloneソフトウェア」により、物理環境からのデータ移行において書き込まれたトラックのみを、仮想環境にクローン化することが可能になった。また、クローン作成時にゼロバイトとなっている領域を再利用できるようになったのも大きい。さらにプールの拡張/縮小時する際に、自動的にデータを再配置する機能も追加されたという。
さらにSymmetrix V-Maxのエンジンあたりの搭載ドライブ数も拡張され、スケールアウト構成オプションとして提供される。エンジン2個構成の場合、従来の480台が最大1200台に拡張され、最大930TBへ。エンジン4個構成の場合、従来の1200台が、最大2400台に拡張され、最大1.8PBまで搭載可能になった。「エンジン当たりのサポート容量が増加したことで、エンジン数は半分に。総コストも約20%程度削減できる」(笹沼氏)と、オプションの効果を強調した。
その他、日本での要望として多かった単相電源オプションや600/450/300GBなどの4Gbps FC対応HDDのサポート、Symmetrix Perfomance Analyzerの強化なども実現した。
FASTの詳細解説とデモンストレーション
続いて、EMCジャパンの山原陽一氏から、Symmetrix V-Maxの最大の特徴ともいえるFASTについての説明とデモが行なわれた。FASTはディスクのI/Oなどを精査することで、データのアクセス頻度をチェック。データを自動的にレベルの異なるストレージに振り分ける自動階層化機能だ。
通常、こうしたストレージの最適化はまずパフォーマンスデータを収集し、どこに負荷がかかっているのかなどを分析。その後、構成変更とデータの移行が行なわれるという。しかし、「パフォーマンス分析はベンダー依存になるし、そもそも人間ができるような簡単な処理ではない」(山原氏)とのことで、大きな負担になり、コストがかかる。この一連の処理を、ポリシーにしたがって自動化するのがFASTだ。
FASTでは1時間から1カ月程度の分析ののち、ストレージ側が階層化管理のためのデータの再配置を自動実行。「移動先の空いている領域にボリュームを作成するMoveだけでなく、空き領域がない場合に移行先と移行元スペースを交換するSwapという2つのモードが用意されている」とのことで、ボリュームを有効活用できる。FASTには、振り分けまで完全に自動化するモードと、分析までを行なったのち、ユーザー承認を得てから振り分けを実行するモードの2つが用意されている。
実際、80%のドライブがビジーで平均15msの応答時間が、FASTの適用で25%のビジーに減少し、平均応答時間もなんと6msに短縮。ドライブの応答が2.5倍高速になったという適用例も出されたほか、EFD(フラッシュドライブ)、FC HDD(RAID1とRAID5)、SATA HDDの4階層で、VMware ESXサーバーを用いた仮想LUNのデモも披露された。
FAST自体はリリースされたばかりの機能だが、「10年前から提供しているOptimizerのテクノロジーをベースにしている。また、仮想LUNテクノロジーを用いたデータの移動に関しても、すでに3年の実績がある」(山原氏)とのことで、十分に円熟した技術であることが強調された。
(次ページ、これがV-Maxだ!)
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