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新世代ストレージ戦国時代 第11回

コストパフォーマンス重視のSSDで導入の敷居も低く

ますます緻密に!3PARが目指す自律的な階層化管理

2010年03月17日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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3月16日、ストレージベンダーの3PAR(スリーパー)は、同社の「InServストレージサーバ」向けの管理ソフトウェアの新版「3PAR Adaptive Optimization」を発表した。また、新たにSSDの導入を進め、階層化管理に磨きをかけた。

サブボリューム単位で階層化管理を実現

米3PAR マーケティング担当副社長クレイグ・ヌネス氏

 3PARは動的なボリューム管理を実現するユーテリティ・ストレージ「InServストレージサーバー」を提供するベンダー。物理容量よりも多い容量を仮想ボリュームとしてアプリケーション側に見せかける「シンプロビジョニング」をいち早く導入したベンダーとして知られており、ストレージの最適化を実現するソフトウェア技術を次々とInServストレージ・サーバーに導入している。

 新製品について解説した米3PAR マーケティング担当副社長クレイグ・ヌネス氏は、まず同社が行なってきた最適化技術の経緯を説明した。3PARはこれまでデータのアクセス頻度に合わせて異なるストレージ間で動的にデータを移動する「3PAR Dynamic Optimization」や、複数の低価格なSATAディスクをストライピングすることで高速化を実現する「3PAR Nearline for Online」の技術を導入してきた。そして今回発表されたのが、階層化管理で重要になるSSDの導入と階層化管理用のソフトウェア「3PAR Adaptive Optimization」になる。

3PARがこれまで実現してきた階層化管理の自動化やSATA HDDのストライピング

今回導入される階層化の強化とSSDの「最強コンビ」

 3PAR Adaptive Optimizationは、今までのようにボリューム単位ではなく、より細かいサブボリューム単位での階層管理を可能にする技術。システム稼働中に動的にデータを移動することが可能になっており、利用頻度に合わせてSSD、FC HDD、SATA HDDなど異なる最大3階層のストレージに格納できる。「自動化(Automatic)ではなく、自律化(Autonomic)という言葉を使っている。寝ているときと起きているときで心拍数で変えるように、あらかじめ設定されたポリシーをベースに、サブボリューム単位で階層化管理を実現する」(ヌネス氏)というものだ。具体的には、500GB中約4000という細かいサブボリューム単位(=リージョン)でI/0を測定し、トランザクションの頻度により、格納場所を動的に変更する。シンプロビジョニング化されたボリュームに対しても有効。

 また、きめ細かいQoSも大きな売り。「設定されているSLAと、現在のボリューム状態をきちんとひも付けられる。性能重視なのか、コスト重視なのかによって変数を変え、データの格納位置を変えることができる」(ヌネス氏)とのことで、ユーザーのさまざまな要件に応えられるという。

設定されたプロファイルは複数のボリューム・アプリケーションをカバー

SSDは性能よりもコストパフォーマンスを重視

 さらに新たに導入されたSSDについても言及。SATAベースのSSDであるSTEC製の「Mach8IOPS」という製品を採用した。50GBという容量だが、現状は容量単位での価格が良好だったという。性能よりもむしろコストパフォーマンスを重視しているが、性能などはストライピングなどで補うため、階層化管理の最上位ストレージとして最適だという。

 こうした自動階層化管理の機能についてはEMCやIBMも投入しているが、「ボリューム単位での自動階層化管理は、2005年の時点ですでに実現しており、他社が追従している状況。しかし、今回の発表で、より細かい制御が可能になり、他社に差を付けた」(ヌスヌ氏)と技術の先進性をアピールした。

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