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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第66回

ネットで変わるTシャツ文化 「東京Tシャツ部」管理人が語る

2010年02月22日 12時00分更新

文● 古田雄介

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Tシャツはアートでありメディアである!

―― クラゲさんがTシャツにハマったのはいつ頃ですか?

クラゲ 特別Tシャツを意識するようになったのは、大学生のときですね。テクノミュージックが大好きで、大学に入ったあとはクラブに行って黙々と踊る日々を送っていました。

 クラブには面白いTシャツを着ている人がすごく多いんですよ。ポップアート系のものから、ファミコンのゲームをモチーフにしたものやテクノ系フォントを使ったものまで。見せびらかすというわけじゃないですけど、格好良かったり面白かったりするのが多くて、自然と「なんかアイツいいTシャツ着てんな」と観察するようになりまして。

 それが原体験でしたが、本格的にハマったのは社会人になってからです。最初の会社を辞めてIT系の企業に転職したんですが、そこでは皆、営業職の人を除いて私服で働いてたんですよ。もうTシャツの人ばかりで。「社会人はスーツでビシッと」というイメージがあったので、かなりカルチャーショックを受けましたね。そこからは「よし俺も!」という感じで、Tシャツを買って買って買って、という感じになりました。

クラゲ氏。真冬ながら、部員500人記念のときに作ったサイトオリジナルTシャツを着てインタビューを受けてくれた。「100人や500人、1000人などを記念して、部員だけが買うことができるTシャツを作る遊びをしております」と楽しそうに語る

―― すると相当な枚数になってそうですね。どんなTシャツが好みなんですか?

クラゲ 一時期は200枚を超えていたんですけど、今は厳選して50枚くらいになっていますね。あんまり多いと収納や管理が大変なんですよね。

 好みは、そうですね……単にデザインが気に入ったとか何となく格好いいとかではなく、そのTシャツをもとに5分、10分と話がふくらむようなものしか買わないですね。そこにプリントされたデザインに作り手の愛や情熱を感じるもの。そういうのはやっぱり違って見えるので、デザインをじっくり鑑賞してしまうし、買ったら皆に見せびらかしたくなります。

―― 絵画を選ぶのに近い感じですかね。

クラゲ ああ、そうかもしれません。真剣に作っている人のTシャツは、とにかくオーラといいますか、何かがにじみ出ているんですよ。たとえば、戦国武将がすごく好きな人が作った戦国武将のTシャツは、細部へのこだわりが半端じゃなく、モチーフの取捨選択にも愛が見えるんです。

 単に「和柄が流行っているから、ちょっと金魚でも置いておこうか」という感じで作ったTシャツとは、迫力がもう全然違うんですね。そういう真剣に作られたTシャツのなかで、モチーフが自分の好みにあったものを買っています。

 Tシャツを作る作業というのは、ある意味編集行為だと思うんですよ。自分の好きなモチーフを消化して、自分なりの解釈でTシャツというキャンバスに落とし込んでいくという。その配置や加工、素材の選び方のすべてに愛を感じる作品。そういうのを目にすると、やっぱり感動します。

―― まさに、アートの世界。

クラゲ そうなんですよ。それでいて、Tシャツはメディアでもあるんです。たとえば、好きなバンドのライブに行って、そのライブ限定のTシャツを買うじゃないですか。それを着て街を歩いているとき、同じTシャツを着た人が前から歩いてきたら、まったく知らない人同士でも「あの人もあのライブに行ったんだ」と分かりますよね。言葉を交わさなくても、それだけでものすごく距離が縮まるんです。

 Tシャツがほかの服と違うのは、たぶんそこなんですよね。好きなゲームのTシャツを着ている人がいたら、親近感がわいて「そのゲーム好きなんですか?」って言いたくなってくる。また場合によっては、自己表現や意思表明になっていたりもするわけです。だから、本当にアートであり、メディアですよね。

2004年から続けている「Tシャツ・オブ・ザ・イヤー」。部員による投票でその年の受賞ブランドが決定する。2009年の金賞に輝いたのは、映画への造詣と情熱が好評を博した「ハードコアチョコレート」だった

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