Windows Serverとクライアント用Windowsの違いとは?
Windows Serverの誕生と特徴を知ろう
2010年02月02日 08時00分更新
クライアント用アプリケーションやクライアントOSのベンダーであったマイクロソフトは、どのようにしてサーバOSである「Windows Server」を出すにいたったのか。その歴史や特徴、そしてクライアント用Windowsとの連携機能などについて見ていこう。
Windows Serverの歴史
マイクロソフトは、IBMと共同でサーバーOS「OS/2」を開発していたが、途中で方針を変更。OS/2を捨て、Windowsとの互換性を保ちつつ、サーバーとして動作するOSを独自に開発することを決断した。その結果完成したのが、Windows NTである。最初のWindows NTは1993年に公開され(日本語版は翌年)、バージョンは3.1だった。この数字は、当時広く普及していたWindows 3.1との互換性を重視したことを示すためである。Windows NT 3.1は、当時としてはかなりのリソースを消費したうえ、低速だった。そのため「意欲的な試み」という評価はされたが、実際にはあまり売れなかった。それでも、「GUIを標準搭載したサーバー」というコンセプトを最初に提示した功績は大きい。なお、IBMはOS/2を独自に進化させるがWindows Serverとの競争に敗れる形で、2006年末ですべてのサポートが終了した)。
さて、Windows NTのファイルサーバー機能はLAN Managerと互換性があった。現在でもWindowsのファイル共有機能は「LanmanServer(LAN Manager Server)」と呼ばれている。これはLAN Manager時代の名残である。画面1はWindows Vistaの画面だが、Windows Server 2008でもあまり変わらない。ただし、セキュリティを強化するため、Windows 2000からプロトコル仕様が拡張されている。Windows Server 2003以降、標準構成では古いLAN Managerサーバーにアクセスすることはできない。
Windows NT 3.1の反省から、1994年には性能を改善したWindows NT 3.5(画面2)、そして1995年にWindows 95との互換性を考慮したWindows NT 3.51が公開された。Windows NT 3.5では、特にTCP/IPの速度が大きく向上している。ちょうどこの頃、インターネットの商用利用が開始されたことを受けてのことだ。ただし、この時点での社内ネットワークの用途からすると、TCP/IPは標準プロトコルというよりは、補助的な存在でしかなかった。当時、社内ネットワークの標準プロトコルは(当時の)NetWareで使われていた「IPX/SPX」である。
1996年には、GUIをWindows 95と同じスタイルにしたWindows NT 4.0が公開された(画面3)。TCP/IPが標準になったのは、この時である。Windows NT 4.0はグラフィック性能も大幅に向上しており、爆発的に普及した。Windows NTが出るまで、サーバーにGUIは不要だと主張する人が多かった。しかし、こうした主張をする人はすでにコンピュータの知識が十分にある人である。初心者にとって、GUIは親しみやすいことは確かだ。Windows NT 4.0は、慣れ親しんだWindows 95と同じスタイルということで、新規にサーバーを導入しようとしている企業担当者の心をつかんだ。逆に、操作が複雑なNetWareの勢いが落ちてきたのもこの頃である。
(次ページ、「Windows 2000とActive Directoryの登場」に続く)
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