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大河原克行が斬る「日本のIT業界」 第5回

世の中ムダムダ無駄ばかり!? IBMが提唱する社会効率化プランとは

2010年01月06日 09時00分更新

文● 大河原克行

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 日本IBMがビジネスや社会を効率化するためのコンセプトであるSmarter Planetを発表してから1年が経過した。

 「当初は、スマートというと、日本では『痩せている』という意味が強く、なかなか理解されなかったが、1年を経過して、賢く、効率化を図るという意味が浸透してきた」と、日本IBMの橋本孝之社長は語る。

 だが、Smarter Planetのコンセプト自体、かつてIBMが提唱したe-Businessほど浸透しているとはいえない状況にある。


ITが作る、賢い惑星=Smarter Planet

 では、Smarter Planetとはなにか。ここでもう一度捉えなおしてみたい。

 IBMが提唱したSmarter Planetは、世界中にあるたくさんの無駄や、非効率なものを解決していくという考え方だ。その課題解決にITや先進技術、ソリューションを活用。デジタルインフラと物理インフラの融合が、課題を解決し、「スマートなプラネット」、いわば「賢い惑星」になることで、より良い世界に変化させるものだ。

社会にある代表的なムダ

 わかりやすい事例のひとつに、交通渋滞の解決がある。年末年始の交通渋滞に閉口した読者もいるだろうが、日本における渋滞の影響を数字に置き換えてみると、年間で38億時間もの時間が消費されており、1人あたりに換算して年間30時間もの時間が渋滞によって無駄にされているという。38億時間をコストに換算すると、なんと12兆円もの損失規模となり、実に、GDPの2%相当にあたる費用が無駄になっている計算になるという。

 交通渋滞は日本のみならず、先進国、新興国でも大きな問題となっている。

 米国でも同様で、ニューヨークだけでも年間4000億円もの経済コストの損失になっているというし、OECD諸国における自動車の所有率が75~90%に対して、新興国ではまだ所有率が低く、自動車所有率は10人に1人という状況が、今後3人に1人以上になると、交通インフラには極めて大きな負荷がかかることが予想されている。

 Smarter Planetは、交通渋滞解決のためにITや先端技術を活用するという提案だ。

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