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大河原克行が斬る「日本のIT業界」 第5回

世の中ムダムダ無駄ばかり!? IBMが提唱する社会効率化プランとは

2010年01月06日 09時00分更新

文● 大河原克行

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飢餓や水不足に悩む国、180万トン以上の食糧を捨てる国

 Smarter Planetでは、交通渋滞以外にもあらゆる局面から、社会における無駄や非効率の解決を提案している。

 例えば、それはこんな観点からの提案だ。

 1900年には世界人口が17億人であったものが、現在の世界人口は64億人と3倍以上になり、水の使用量が6倍に増加している。しかし、現在、全世界の5人に1人は安全な飲み水が確保できない状況にあり、市町村は水道設備の水漏れのために貴重な水を最大50%も失っているという。これが2050年には90億人の世界人口が想定され、さらに6倍のみ図が必要とされ、さらなる水不足も懸念されることになる。

 また、その一方で北米の小売業においては、在庫切れによる機会損失が9兆3000億円に達していること、世界の飢餓人口が9億6000万人にも達しているにも関わらず、日本では9000万トンの食料のうち21%が廃棄されていることなどの問題を指摘しながら、IBMでは、交通、油田、食料生産・流通、医療、送配電網、小売・サービス、水管理、サプライチェーン、国家、天気、土地管理、都市といった、社会のあらゆる領域で無駄と非効率性を解決することが必要だとする。

 さらに、これをSmarter Citiesという考え方に落とし込み、行政サービス、教育、医療、公共安全、交通、エネルギーとユーティリティという6つの観点から都市機能をスマートにし、すでに治安維持対策、水資源管理などの具体的な事例として成果があがっているという。

日本での導入例を図式化したもの

 日本でも、今後は、引越の際に手続きが求められる銀行口座の住所変更を、1つの銀行で手続きを行っただけで、異なる複数の銀行の口座の住所変更も同時に行うといった実証実験が、30以上の金融機関が参加する形で実施されている。これも、従来の発想にありがちな集中センターを設置して処理をするというのではなく、SOAによる標準インタフェースを活用し、それぞれの金融機関のシステムを連動した形で実現するものになるという。


IBMが掲げる都市を変える5つのイノベーション

 実は、IBMがSmarter Planetを提唱してから約1年だが、IBMでは、全世界において、こうした取り組みを数年前から実施している。その成果が徐々に表面化してきたというわけだ。

 こうした成果をもとに、IBMは、2009年12月に、「今後5年間に都市を一変させる5つのイノベーション」を発表した。

 これは、今後5年から10年の間に世界の人々の働き方、遊び方、生活を一変させる可能性を持った一連のイノベーションはなにかといった観点から発表したもので、「より健康的な免疫機構を持つ都市」、「生命体のように感知し、反応する建物」、「燃料が不要な自動車やバス」、「都市の渇きを癒やし省エネを実現する、よりスマートなシステム」、「緊急通報が入る前に危機に対応できる都市」の5つをあげた。

 IBMによると、毎年6000万人もの人々が都市や市街地に移り住んでいるとする。これは毎週100万人以上移住している計算となり、歴史上初めて、世界人口の過半数が都市の住民になるという状況を生んでいるという。いまだかつてないペースで都市化が進展しているというわけだ。

 増加し続ける人口と劣化していくインフラへの対応に向けて、IBMは世界の都市と協力することで、よりスマートな都市になるための活動を推進していくとしている。

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