企業全体で経営判断に使うプロジェクト管理
Microsoft Project Server 2010
基本的にはユーザーのデスクトップで使うMicrosoft Project 2010よりも、よりいっそう企業の経営に直結する形でProjectの機能を使おうというのが、サーバー版の「Microsoft Project Server 2010」だ。ユーザーはすべて、Web画面からの操作になる。
この製品はMicrosoft SharePoint Serverと連携して動作するので、SharePointがないと動作しない。また、マイクロソフトが2005年に買収したプロジェクトポートフォリオマネージメント開発企業UTMの技術を使い、ポートフォリオ管理機能が組み込まれている。Project Serverの前バージョンでは、英語版のみ提供されていたが、今回からProject Serverと統合されて日本語でも動作するようになった。
このポートフォリオ管理が本製品の目玉だ。従来のプロジェクト管理では、予算決定プロセスの不明確だったり、Excelファイルがメールで飛び交うなど承認フローが煩雑であったり、全社的な視点で各プロジェクトを横並び評価できない。言い換えればプロジェクトにガバナンスが効きにくかったがために予算のプライオリティ付けが困難と言った状況があったが、Project 2010のポートフォリオ管理はそれらの問題に対応するソリューションとなっている。
なお、ポートフォリオ管理をするには、Project Server 2010を中心とした「エンタープライズプロジェクト管理」が前提だ。この管理体系に含まれる要素は、
- 企業経営者
- PMO(プロジェクトマネジメントオフィス=経営を管理する上位集団)
- PM
- チームメンバー(作業者)
これらのハブとなるのが、ProjectServer 2010になる。
こうした参加者が、「ガバナンス・ライフサイクル」と呼ばれる(プロジェクトの)「作成」→「選択」→「計画」→「管理」というワークフローを、Project Server 2010によって一元化して回していくことで、ポートフォリオ管理が完成する。ProjectServer 2010では、こうした作業をWebブラウザだけで行なえるのも特長だ。
各フローの具体的な内容は以下の通りだ。
- 作成
- PMがプロジェクトを起案し、稟議を上げる。
- 選択
- PMOや経営者などの企業首脳陣が、プロジェクトの可否を判断。予算・リソースを決定する。
- 計画
- プロジェクトにゴーサインが出たら、PMが割り振られた予算・リソースを元に人員計画を詳細化する。メンバーは仕事がアサインされ、その通りに動き出す。
- 管理
- PMOが進捗を管理し、定期的な予算の再配分などを行なう。
ガバナンス・ライフサイクルを一元的に俯瞰するため、Project Server 2010には、「プロジェクトセンター」と呼ばれる画面が用意されている。プロジェクトセンターは、閲覧だけではなく、Web画面上でプロジェクトに対して編集も行なえる。
プロジェクトセンターによるプライオリティ付けは、なにも取捨選択だけを行なうわけではない。たとえば、とあるプロジェクトが設定していた予算を500万円オーバーしている場合は、予算内で実行可能な似たようなプロジェクトを提示するといった機能も備える。
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