無線LAN化は進んでいるが……
製品カテゴリを絞り込んでも、各社各様のスペックがあるので製品選びには迷うところ。
スペックについては、前述した“集約化”について、まず考えたい。プリンター・複合機ともにカラー化やコンパクト化が進んでいるほか、A4機をベースとしたコンパクトな普及型複合機であっても自動両面ADF、自動両面印刷などの機能が充実してきた。
また、ビジネス用複合機では有線LANがほぼ標準装備となり、無線LANを搭載するものも増えている。ただし、有線LANが充実しているオフィス環境を意識してか、家庭用・SOHO用のインクジェット複合機に比べると無線LANはそれほど重要視されていないようだ。
操作性を高める独自の取り組みに注目
ビジネス用複合機でも操作性の改善が目立ってきた。コピーやファクスなど多彩な機能をひと目で分かる液晶パネル、迷いにくい操作ボタンの採用はマニュアルなしでも使えるよう配慮されている。
オフィス向けの大型複合機では一般的な液晶パネルだが、ページプリンターをベースとした小型機ではあまり普及していなかった。
しかし、キヤノンの「Satera MF8450」は大型カラー液晶に加えてホイール(ダイヤル)を装備するなど、モノクロ液晶+カーソル操作の他機種とは一線を画す操作性を採用した。また、OKIデータのCOREFIDOシリーズも音声ガイダンスを装備しており、面白い。
コスト削減が大きなキーワード
このほか、印刷頻度を抑えることでペーパーレス化・コスト削減を大きく謳うのも最近の製品の特徴となっている。
ネットワーク接続したPCから直接ファクス送信を行なうことで、送信用の原稿をわざわざプリントアウトせずに済む点は、複合機にとって当初から利点だった。最近の機種では、これに受信したファクスのPDF化、ネットワーク経由で受信者のPCへデータを転送する機能が搭載されている。
また、スキャンの場合も複合機から直接メールでPCにデータ送信できるなど、単純な印刷ツールの範疇を超えたペーパーレスツールとしての役割を果たしつつある。これには、従来「紙」ベースであった各種業務がデータやネットワーク共有に移行しつつある点も関係しているのだろう。
ビジネス現場でのコスト削減や情報統制がいっそう厳しくなるなか、コスト管理/セキュリティー機能も強化されつつある。複数の部署・ワークグループで共有する場合には使用履歴のレポート、利用における認証システムの導入などだ。
これらは大型の複合機では一般的なものだったが、デスクサイドやデスクトップで利用するコンパクト複合機でも導入されてきている。
設置スペースもコスト削減の一種
特にSOHOユースでは設置面積を重視したい。例えば、ブラザーの「MFC-9120CN」は驚くほどのコンパクトボディだ。設置面積的にはA3ノビよりもやや大きめといったところにも関わらず、A4のカラー機とは思えないほどのサイズに収まっており、高さも約40cmと机の上に設置できるほどだ。
ワークグループであればスペースの余裕はあるだろうが、前述のように“他部署の迷惑にならないように多量の印刷を行なう”というケースもあることから、印刷速度を重視しておくとなにかと便利なはずだ。
今まで述べてきた点と、少し基準が異なるが、価格重視ならば複合機以上に大きく値段を下げているモノクロページプリンターも注目しておきたい。
エプソンの「LP-S100」はシンプルな小型機でLANも持たないが、価格は1万4800円と、デスクサイドで個人が使うのに適したものとなっている。SOHOというよりも個人ユーザー向けといってもよいだろうが、ネットワークで共有する複合機と併用するプリンターとしては思い切ってここまでシンプルな小型機を選ぶのもひとつの手だろう。
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