Linuxベースのサーバ管理ソフトやセキュリティ製品を手がけるHDEが、初めてメールセキュリティアプライアンスを展開する。実績の高い同社のメールセキュリティソフトを組み込んだ製品の強みとは?
今からアプライアンス市場に
参入したわけ
10月7日にHDE初のメールセキュリティアプライアンス「tapirus(タピルス)Mi1000」が発表された。スパムメール対策、ウイルス、コンテンツフィルタなどをフィルタにより付与されたスコアに応じて、削除、隔離・転送、件名に文字列追加などのアクションが設定できる。これにより、おもに外部から内部のメールでの脅威を防ぐことができる。
製品は1Uスペースに4台サーバを収容できるコンパクトな筐体で、デュアルコアのAtomプロセッサー330(1.6GHz)を採用。1台で約5万通/日の流量をさばくことができるスペックを誇る。複数台により、冗長化することも可能だ。
もちろん、こうしたメールセキュリティアプライアンスは5年以上前から投入されており、数多くの製品が存在している。シマンテックやミラポイント、アイアンポート、そして低価格な製品であればバラクーダなどが人気を集めている。今になってアプライアンス市場に参入してきた理由を株式会社HDE プロダクト本部 マーケティング部 部長の山本有哉氏は、「ハードウェアの原価が下がってきたこと、故障率が低下してきたこと。なにより導入がやはり容易なので、以前からアプライアンスは求められてきました。リプレイスの市場でも、低価格で、性能の高い製品が必要とされています」と話す。
後発の強みは性能、価格、安定度
とはいえ、周回遅れで他社と同じ製品を出しても勝ち目はない。当然、この事実はHDEも認識しており、後発の強みを追求し、性能、価格、安定感の3つの特徴をアピールし、前述したメールセキュリティ製品のリプレイスを狙う。
まず高性能という点は、エフセキュアの商用アンチウイルスエンジンの採用が挙げられる。これは他社がフリーのアンチウイルスソフトを組み込んでいるのとは対照的だ。もちろん、迷惑メールは検出精度の高いHDE自社のエンジンを採用し、高い検知精度を実現している。
その一方で価格は他社に比べ半額となる49万8000円(税込)を実現した。もちろん、アカウント単位ではなく、システムライセンス単位での課金なので、ユーザー数も気にしないで済む。さらに大きいのは、新製品でありながらソフトウェア版ですでに実績があるという点だ。これまでHDEが展開してきた6000社を超える導入実績が挙げられる。
もちろん使い勝手やサポートにも配慮されている。アプライアンス専用のGUIを搭載し、レポート表示や隔離メールの確認、アップデートなども容易に行なえる。
ハードウェアの保守という観点においても「設立当時にLinux搭載のホワイトボックスをやっていたので、実績がないわけではありません。サポート電話番号もきちんと明記しましたし、力を入れています」(山本氏)と語る。
競合は数多いが、特に低価格製品で高いシェアを誇るバラクーダを追撃する構えだ。山本氏は「以前、バラクーダの方が、『他社は検知率を1%上げるのに大きなコストをかけているが、うちはその余計なコストをかけず、価格に転嫁している』といった趣旨の話を聞いて感銘を受けました」と素直に話す。確かに検出精度はセキュリティ製品のキモではあるが、昨今の経済状況を考えればコモディティ化された製品にも大きな存在意義がある。HDEの挑戦に注目したい。
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