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キーワードとサイトの相性をAnalyticsでアクセス解析 (7/8)

2009年10月02日 21時00分更新

文●中野克平/デジタルコンテンツ部編成課

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直帰率が高くてもいいキーワードを見つける

「平均ページビューが多く、平均サイト滞在時間が長く、直帰率が低いキーワードのセッションほど、コンテンツとキーワードの相性がよいに決まっていますよ」――またまたGoogle Analyticsの罠にはまりましたね。確かに、Webサイト全体の平均よりも、平均ページビューが多く、平均サイト滞在時間が長く、直帰率が低いキーワードで訪れたユーザーとコンテンツの相性はよいでしょう。しかし、Webサイト全体の平均よりも、平均ページビューが短く、平均サイト滞在時間が短く、直帰率が高いキーワードで訪れたユーザーとコンテンツの相性は悪いといえるのでしょうか。

 新規セッション率と直帰率の高低で、コンテンツがユーザーの目的を達成できたかを判断するのは実はかなり乱暴な話です。たとえばWebメディアの場合、記事は1ページの場合もあれば、10ページの場合もあります。1ページしかない記事を読んで直帰したとしても、「ユーザーに不満がある」とまではいえません。ネットショップの場合、新規ユーサーが商品ページを訪れて直帰したとしても、他のサイトの商品と比較している段階の可能性もあります。後日、同じキーワードで検索し再訪し、「やっぱりこのショップで買おう」と決めたときは新規セッションでなくなっているのです。

 では、どうすれば直帰率が高くても問題のないキーワードと問題とあるキーワードに気づけるのでしょうか? 以下は、ASCII.jpのあるサブドメインについて、新規セッション率が高く、直帰率が高いキーワードを抽出したときの表です。

キーワード セッション 平均ページビュー 平均サイト滞在時間 新規セッション率 直帰率
ipod touch 無線lan 997 2.71 150 45.24% 48.65%
ps3 673 2.82 141 31.05% 42.50%
百里基地 航空祭 2009 駐車場 617 4.98 228 86.87% 52.67%
ラブプラス 614 1.78 79 39.25% 70.52%
vista デフラグ 580 4 391 41.90% 50.52%
地デジチューナー 576 3.45 157 31.25% 50.17%
athlon ii x4 620 484 2.14 164 32.23% 68.60%
工人舎 pm 480 2.41 119 23.96% 69.38%
ipod touch 388 3.53 210 24.74% 44.85%
itunes 9 327 1.72 65 36.39% 76.76%

 たとえば、「百里基地 航空祭 2009 駐車場」の新規セッション率は86.87%で、新規ユーザーを多く呼び集めているのに、直帰率は52.67%もあり、半分以上の人が1ページ目で帰ってしまいました。キーワードからは、「百里基地の航空祭に行く人が駐車場の有無を検索エンジンで調べている」というユーザーの目的が読み取れますが、該当記事「第25回百里基地航空祭取材レポート」には、「百里基地では駐車場が不足しているため、公共交通機関の利用を呼びかけている」という一文があるだけで、駐車場の許容台数や近隣の有料駐車場の情報はありません。単純に考えれば、「今後、イベント告知記事を記載する場合は、駐車場について詳しく書くようにする」というPDCAがあり得ますが、本当にこれでいいのでしょうか。「百里基地 航空祭 2009 駐車場」で検索したユーザーが、この記事についてどう感じたか、もっと詳しく調べるにはどうすればいいのでしょうか。

 3ページ目で説明したように、Google Analyticsの平均ページビューと平均サイト滞在時間は、直帰したセッションを含めて計算しています。そこで3ページ目と同様、「セッション中のページ数」と「セッション中の滞在時間」を計算したのが以下の表です。

キーワード セッション セッション中のページ数 セッション中の滞在時間 新規セッション率 直帰率
ipod touch 無線lan 997 4.33 292 45.24% 48.65%
ps3 673 4.17 246 31.05% 42.50%
百里基地 航空祭 2009 駐車場 617 9.4 482 86.87% 52.67%
ラブプラス 614 3.64 267 39.25% 70.52%
vista デフラグ 580 7.06 790 41.90% 50.52%
地デジチューナー 576 5.91 315 31.25% 50.17%
athlon ii x4 620 484 4.62 522 32.23% 68.60%
工人舎 pm 480 5.6 389 23.96% 69.38%
ipod touch 388 5.58 381 24.74% 44.85%
itunes 9 327 4.12 278 36.39% 76.76%

 たとえば「百里基地 航空祭 2009 駐車場」の場合、直帰セッションを含めるとユーザーは228秒の滞在時間中に4.98ページ読んでいることになりますが、直帰セッションを含めずに見ると、482秒の滞在時間中に9.40ページ読んでいることが分かります。当該記事は9ページありますので、直帰していないユーザーは、全ページを読んでから帰ったことが分かります。不満を持つどころか、大満足しているといってよいでしょう。

 さらに顕著なのが「itunes 9」の場合です。直帰セッションを含めるとユーザーは65秒の滞在時間中に1.72ページ読んで帰ったことになります。直帰率は76.76%もあり、ユーザーは不満を爆発させて帰ったようにも思えますが、当該記事「インターフェースを進化させた「iTunes 9」が登場」は1ページしかなく、直帰率が高いのは当たり前なのです。さらに直帰セッションを含めずに見ると、ユーザーは278秒の滞在時間中に4.12ページ読んでいることが分かります。1ページしかない記事を読んだ後、さらに3ページ以上読み進めているわけですから、ASCII.jpのMac/iPod関連の記事をよほど気に入ってくれたことが分かります。

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