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キーワードとサイトの相性をAnalyticsでアクセス解析 (8/8)

2009年10月02日 21時00分更新

文●中野克平/デジタルコンテンツ部編成課

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直帰しないユーザーの「気持ち」を指標から読み取ろう

「うーん、なんだか釈然としません。直帰率が高いということは不満を持つユーザーが多かったはずなのに、なぜ直帰しないユーザーがコンテンツを読み進むんでしょう」――この問題は「百里基地 航空祭 2009 駐車場」で検索しているユーザーの目的を、「百里基地の航空祭に行く人が駐車場の有無を検索エンジンで調べている」に、「iTunes 9」で検索しているユーザーの目的を、「iTunes 9を調べている」に、ユーザーの目的を1つに限定したことが原因です。「百里基地の航空祭に行く人が駐車場の有無を検索エンジンで調べている」ユーザーは、そもそも「百里基地の航空祭が好き」なのです。「駐車場の有無が知りたい」>「百里基地の航空祭が好き」という気持ちの人が52.67%いて、駐車場の有無が分からない記事を見つけて直帰してしまいました。しかし、残りの47.33%の人は「駐車場の有無が知りたい」<「百里基地の航空祭が好き」という気持ちを持っており、駐車場の有無が分からなくても、記事を読んで満足してくれるわけです。

 同様に、「iTunes 9」で検索しているユーザーは、「iTunesが好き」なのです。76.76%の「iTunes 9について知りたい」>「iTunesが好き」という気持ちの人は、iTunes 9についてのニュースを読んで満足し、1ページ目で帰ってしまいます。しかし、「iTunes 9について知りたい」<「iTunesが好き」という気持ちの人が23.24%いて、iTunes 9についてのニュースを読み終わっても満足せず、iTunes関連の他の記事まで読んでくれるのです。

 つまり、ユーザーの目的はコンテンツを実際に目にすることで変わるのです。私の本業は雑誌編集者ですが、新人の頃、編集長に言われた「中野クン、編集者の仕事は読者が知りたい記事を作ることだよ」という「教育」に納得できませんでした。たとえば、「アフリカの大自然で、ライオンがシマウマを食い殺すシーン」が見たいと思ってテレビのチャンネルを合わせる視聴者はいないでしょう。そうではなく、たまたまテレビで「アフリカの大自然で、ライオンがシマウマを食い殺すシーン」を見てしまい、余りに衝撃的で、知りたいと思っていなかったのに思わず見入ってしまうのです。

 メディアに限らず、あらゆるWebサイトには同じことがいえます。多くのネットショップでは、商品の説明は1ページしかなく、読み進むコンテンツがないことの方が多いでしょう。しかし、「この商品を買っている人はこの商品も買っています」のようなレコメンデーション機能や、女性用ブーツの商品詳細ページに、他の女性用ブーツのリストを表示することで、ユーザーが目にする商品の数を多くできます。コンテンツを工夫するだけでなく、ナビゲーションを工夫することでも、より多くのページを見たり、より長い時間サイトに滞在してもらったりできます。「必要買い」だけでなく、「衝動買い」「まとめ買い」など、ユーザーのニーズ以上のものを買ってもらう工夫が必要なのです。

 Google Analyticsを使ってキーワードを分析すると、どうしても「ユーザーのニーズを合理的に理解する」ことに向かってしまいがちですが、少し工夫するだけで、ユーザーのニーズを超えたコンテンツがどれかも特定できるのがGoogle Analyticsの面白さです。そういえば、編集長がいっていたのは「中野クン、編集者の仕事は読者が知りたくなる記事を作ることだよ」だったかもしれないと気づいたのは、ずいぶん後になってからのことでした。


 次回は、検索エンジントラフィックの離脱ページについて分析します。


著者:中野克平(なかの かっぺい)

アスキー・メディアワークス技術部基盤研究課係長(兼デジタルコンテンツ部編成課係長)。ASCII.jpをはじめとするアスキー・メディアワークスのWebサイトについてアクセス状況を解析し、事業を改善する報告をしながら、基盤となる検索エンジン技術、Webアプリケーションの研究開発を担当している。

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