2009年9月16日に、クアッドコアCPUのバリュー製品をリリースしたばかりのAMDだが(関連記事)、2009年9月18日に省電力性能がセールスポイントとなる新CPUを3製品発表した。リリースされたのはデュアルコアの「Athlon II X2 235e(2.7GHz)」と「Athlon II X2 240e」(2.8GHz)、クアッドコアの「Athlon II X4 605e」(2.3GHz)で、いずれもモデルナンバー末尾に低電力版を示す“e”が付けられている。
まずは各CPUの素姓を見てみよう。今回登場したAthlon II X2シリーズは、45nm SOIプロセスで製造されるRagorコアを採用しており、TDPは45W。L2キャッシュは1MB×2で、最近のPhenom IIシリーズが512KB×コア数であることを見るとAMD製CPUとしては大容量な反面、L3キャッシュは搭載されていない。
現在発売されているAMD製デュアルコアCPUの低電力版はAthlon II X2 5050e(Socket AM2、2.6GHz、L2 512KB×2)なので、クロック数が0.1~0.2GHzほど上昇し、L2キャッシュが倍増していることになる。これに伴うパフォーマンスの上昇が期待できるほか、対応ソケットがAM2+/AM3になった点も見逃せない。Socket変更により、AM3マザーとDDR3メモリの組み合わせはもちろん、ちょっと古めのAM2マザーとDDR2メモリで使うといったことも可能だ。多くのユーザーに使い回しの効くCPUと言える。
クアッドコアのAthlon II X4 605eは、2日前に発表されたAthlon II X4 620/630と同じ45nm SOIプロセスで製造されるPropusコアで、L3キャッシュは非搭載となる。注目すべきは省電力性能で、デスクトップ向けクアッドコアCPUとしてはAMD、Intel含めて初のTDP45W仕様となる。その分動作クロックは2.3GHzとかなり低めに設定されている点は注意が必要だ。
ベンチマーク環境
それでは実際に新CPUの性能を見ていこう。今回は新製品3つのうち「Athlon II X2 240e」(2.8GHz)と「Athlon II X4 605e」(2.3GHz)のテストを行ない、比較対象としてクアッドコアCPU「Phenom II X4 905e」(2.5GHz)、トリプルコアCPU「Phenom II X3 705e」(2.5GHz)そして、IntelのデュアルコアCPU「Core 2 Duo E8400」(3.0GHz)を用意した。
テスト環境 | |||
---|---|---|---|
AMD環境 | Intel環境 | ||
CPU | Athlon II X2 240e(2.8GHz) Athlon II X4 605e(2.3GHz) Phenom II X4 905e(2.5GHz) Phenom II X3 705e(2.5GHz) |
Core 2 Duo E8400(3GHz) | |
マザーボード | ASUSTeK「M4A785TD-M EVO」(AMD 785G) | Intel「DG41TY」(Intel G41 Express) | |
メモリー | DDR3-1066 2GB×2 | DDR2-800 2GB×2 | |
ビデオカード | ATI Radeon 3870(メモリ512MB) | ||
HDD | Seagate「ST3160812AS」(160GB) | ||
OS | Windows Vista Ultimate SP2(32bit) | ||
グラフィックドライバ | ATI Catalyst 9.9 |
(次ページへ続く)
この連載の記事
-
第448回
デジタル
TDP 105W動作にするとRyzen 7 9700X/Ryzen 5 9600Xはどの程度化ける? レッドゾーン寸前を攻める絶妙な設定だが、ゲームでの効果は期待薄 -
第447回
デジタル
Zen 5とTDP増でゲーム性能は向上したか?「Ryzen 9 9950X」「Ryzen 9 9900X」の実力チェック -
第446回
デジタル
「Ryzen 9 9950X」「Ryzen 9 9900X」は“約束された”最強のCPUになれたのか? ベンチマークで見えた利点と欠点 -
第445回
デジタル
「Ryzen 7 9700X」「Ryzen 5 9600X」のゲーミング性能はゲームキングRyzen 7 7800X3Dに勝てる? -
第444回
sponsored
AI時代だからこそNVMe SSDで強化!! 新登場「WD BLUE SN5000」速攻レビュー -
第444回
デジタル
低発熱&低消費電力でも性能が向上した「Ryzen 7 9700X」「Ryzen 5 9600X」のアプリ&AI処理性能に驚いた -
第443回
デジタル
意外と良いかも! ビデオ内蔵8000Gシリーズ最下位「Ryzen 5 8500G」の性能 -
第442回
デジタル
ローエンドビデオカードの選択肢のひとつとなるか!? Radeon RX 6500 XTに8GB版が追加 -
第442回
自作PC
内蔵GPUを削除したRyzen 7 8700FとRyzen 5 8400Fに存在価値はあるのか? -
第441回
自作PC
いまどきのゲーミングPCでマザー側の映像出力に繋ぐのはあり/なし?古の禁忌に踏み込む -
第440回
自作PC
インテルCPUを安全に使える設定?「Intel Baseline Profile」のパフォーマンスを検証【暫定版】 - この連載の一覧へ