Windows 7を企業が導入するタイミングはいつなのか? 果たして企業はWindows 7を必要としているのだろうか? 調査機関の数値から、新OS Windows 7普及への動きを探る。
Vistaが登場したのは最悪のタイミングだった
改めて考えると、Windows Vistaが登場した2007年(ボリュームライセンス版は2006年末)は、国内企業にとっては最悪のタイミングであった。
Vistaの登場する4年ほど前の2003~04年は、好景気と、IT投資促進減税の効果により、企業におけるパソコンへの投資が積極的に行なわれた年であった。
国内の企業の場合、パソコンの保有年数はほぼ4~5年で、これは、日本の減価償却システムに起因している。多くの企業が利用しているリースシステムでもこれは同様で、減価償却に準じた4~5年のリース契約が一般的だ。したがって、Vistaが登場して1年後には、大規模なリプレース需要があってもよかった。それにブレーキをかけたのが、2007年ごろから出始めた米国の景気減退説と、ご存じのように、Vistaの互換性問題だった。
ある意味、景気の先行きさえ見通せれば、互換性問題は二の次にして、システムを一斉リプレースする動きもあり得たかもしれない。しかし、昨年初頭には、企業の設備投資の伸びがマイナスに転じており、実際にはVistaへの移行は進まなかった。
Windows 7にせざるを得ない、のっぴきならない2つの事情
それでは、同様に景気の先行きが見えない今回はどうだろうか。さまざまな調査会社によって企業のWindows 7導入に関するアンケートが行なわれ、企業の対応状況が明らかになってきた。
調査結果によって矛盾もあるが、おおむね、年内の導入や来年の導入を検討している企業が半分、残りの半分の企業でWindows 7の導入予定がないといったところだ。また、導入を検討している企業のうち、多くの企業がXPから、Vistaを飛ばしてWindows 7の導入を検討しているという……。
これらはソフト会社の米スクリプトロジックやドイツ銀行の調査を参考にしている。全米あるいは世界市場を対象としているが、日本の企業に当てはめて考えても、さほど違和感はない。50%という数字が高すぎる気もするが、「導入の検討」を含めてというならば、妥当なところだろう。
いすれにしても筆者は、Windows 7の企業導入が、発売後1年でかなり進むと見ている。
第一の理由は、Vistaの導入を見送った企業で、パソコンそのものの耐用年数が限界に近づいていること。ここ数年でリース切れパソコンを再リースするなどしてしのいできた企業も、対応が限界に近づいている。また、Vista搭載機を導入し、XPへダウングレードするといった利用方法も見受けられるが、こうした手法が導入コストと管理コストを引き上げている。
第二に、今年の4月でXPのサポートが終了したこと。有償でのサポートやセキュリティパッチの提供は14年まで継続されるが、あえて有償のサポートを選択する理由は考えにくい。また、XP単体としての供給は、ネットブック用のOEMを除き、すでに終了している。したがって、今後は、故障したからといってXPパソコンそのものを調達するのが至難の業となる。
以上が、企業側にあるのっぴきならない事情だ。Windows 7の新機能がが企業にもたらすメリットはさまざま挙げられているが、景気の見通しがいまだ立たない中、Windows 7普及の出発点は、こののっぴきなならい状況にあると見ている。
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