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Windows 7はビジネスPCを変えるか?第1回

どう考えるべきか? Windows 7の企業導入

2009年09月01日 09時00分更新

文● 山本雅史

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マイクロソフトは、9月1日より法人向けにWindows 7の提供を開始する。そこで、法人向けのWindows 7のマーケティングを担当している、マイクロソフト コマーシャルWindows本部 中川 哲本部長(以下 中川氏)に、企業ユーザーにとってWindows 7はどのような製品なのか? という話を伺った。

Windows 7法人向け機能強化ポイント

ビジネス向けのOSとしては、早いタイミングでのアップデート

 Windows 7は、Windows Vista(以下Vista)と比べるとあらゆる面で改善が施されている。とはいえ企業にとってはVistaがリリースされて2年でWindows 7が登場することとなり、これはビジネス向けとしては、あまりにも早いサイクルではないだろうか? こうした問いに、中川氏は以下のように答えた。

中川氏 「多くの企業ユーザーは、現在でもWindows XPをお使いになっています。我々は2年前にVistaをリリースしたのですが、互換性やパフォーマンスなど、様々な部分で企業ユーザーに満足していただけませんでした。今回は、Vistaの時の反省を踏まえて、互換性とパフォーマンスに関しては非常に重視して開発しました」。

中川氏
マイクロソフト コマーシャルWindows本部 中川 哲本部長

 現在でも、パフォーマンスやOSの動作に高いハードウェアリソース(高性能なCPUや多量のメモリ)が必要なVistaは、個人ユーザーにおいても、企業ユーザーにおいても普及しているとは言い難い。このため、多くの企業ユーザーがWindows XPを使用している状況だ。

中川氏 「XPは、1998年あたりから開発されたOSです。このため、2009年の現在の環境にはマッチしていないのです。XPは、様々なサービスパックやバグフィックスなどを出すことで新しい環境に対応してきましたが、OSの根本的な部分からセキュアにすることは難しい。たとえば、1999年当時は、インターネットを介したウィルスやルートキットといったセキュリティー上の脅威はそれほど目立っていませんでした。しかし、2009年現在は、こういったことが当たり前の世の中になっています。

 だからこそ、2009年の環境にあったWindows 7が企業にとっても必要とされているのだと思います。Windows 7ではVistaのカーネル(OSの中核部分)を機能アップして、よりセキュリティーの高い製品に仕上げています」。

 確かに、中川氏の言うように、XPは時代遅れのOSといえる。しかし、多くの企業でVistaが採用されずに、XPがそのまま利用されてきたという現実がある。これには、ひとつは互換性の問題があった。もちろんVistaも互換性については相応に考慮されてはいたが、最終的に“XPでは動作しても、Vistaでは動作しないアプリケーション”が出ていた。また、企業が独自に作成するアプリケーションでも、Vistaで動作しないケースが多かったという。

中川氏 「やはり、独自アプリケーションが動かないなどの経験をされると、Vistaに対しての印象はどんどんと悪くなっていきます。たとえば、10本中、1本のアプリケーションがVistaで動作しなかったといっても、その1本がどうしても使いたいアプリケーションだったときには、Vistaは使えないという印象をユーザーの方々は持たれるのです」。

Windows 7互換性への5つの取り組み
互換モードやXPモードのみならず、現在使用しているPCでWindows 7を使えるかどうかチェックする「Upgrade Advisor」をはじめとした事前チェックのしくみや、Windows 7での動作を保証するロゴプログラムなど、Windows 7には互換性に対して5つの取り組みがなされている

 そこで、Windows 7では、Vistaをベースにして、互換性を非常に高く保っているという。中川氏は、「Vistaベースの多くのアプリケーションは、そのまま動作するでしょう」と言い切る。また、現在では多くの市販アプリケーションがVistaに対応している。Windows 7でも多くのソフトが問題なく動作する環境は整っていると、中川氏は主張する。

中川氏 「もし、互換性の問題で動作しなかったアプリケーションがあったとしても、Vistaで搭載していた互換性機能をより強化しています。Vistaでは、動作しなかったアプリケーションをユーザー自身の手で、互換モードで動作させる必要がありました。これは、普通のユーザーにとってはハードルの高いものでした。

 そこでWindows 7では、互換性の問題で動作しなかったアプリケーションをチェックして、自動的に互換モードで動かすようにしています。これにより、ユーザーが複雑な設定を行なわなくても互換モードでアプリケーションを動かせます」。

 Windows 7では、互換モードはVistaに比べると使いやすくなっている。しかし、いくら互換性を高めても、古いアプリケーションのすべてを動かすことはできない。

中川氏 「Windows 7のProfessional/Ultimate/Enterprise版には、XPモードという機能を用意しています。これは、Windows 7の内部で仮想的にXPを動作させようというものです。つまり、Windows 7上に仮想環境を作り、XPが動かします。これにより、Windows 7の互換モードでは動作しなかったアプリケーションも動作します」。

 Windows 7は、仮想環境用のOSとして、XPが組み込まれて提供されている。これにより、XPのアプリケーションの多くが動作する。通常であれば、XPを仮想環境で動かすため、OSのライセンスはWindows 7とXPの2つが必要になる。しかしXPモードでは、Windows 7のProfessional版以上であれば、XPのライセンスは必要ない。このため、コスト的にも安くXPの仮想環境が利用できる。

中川氏 「XPモードは、XPのアプリケーションの多くを動作させることができます。しかし、XPモードでも動作しないアプリケーションも数は少ないのですが存在します。また、XPモードは仮想環境を利用するため、高いパフォーマンスでXP環境が動作するわけではありません。仮想環境に対応したCPUも必要になります(Intel VTやAMD-V)。こういったことを考えれば、XPモードは最終手段として使ってもらい、Windows 7の互換モードをできるだけ使うほうが、高いパフォーマンスでアプリケーションが利用できるでしょう。最もいいのは、アプリケーションをWindows 7に対応したものにアップグレードしてもらうことです」。

 2009年に入りXPのメインストリームサポートは終了している。これは、今後XPではセキュリティー上の緊急に位置づけられるパッチしかリリースされないことを意味する。また、2014年以降は延長サポートも終了するため、これ以降はどのようなセキュリティー上の問題があったとしても、パッチがリリースされないことになる。

 ということは、2014年までXPを使い続けることは、2014年以降、Windows 7の次世代OSへのアップグレードを強いられることになる。XPからVista、Windows 7の2バージョンをスキップして新しいOSへ移行する場合、まったく新しいアプリケーションを用意することになる。これは、企業にとって一時のコストが膨大にかかることになる。

 こういったことからも、計画的なアップグレードを考えて、この機会にXPをWindows 7にアップグレードしていくべきだとマイクロソフトは考えている。5年後に巨額なコストを一時に払うのか、一年一年計画的にコストを支払っていくのか、企業にとっては計画的にコストが見通せる方がいい。

次ページに続く

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