ここ数年「PC購買の低迷期」と言われる一方で、外資系ベンダーによる価格競争が加速している。日本メーカーにとっては厳しい状況だ。Windows 7がこういった現状を打破することを期待する向きもあるだろう。今後のビジネスPC分野における戦略を、国内大手はどのように考えているのだろうか。富士通を取材した。
エコとセキュリティーをキーワードにした独自の製品展開
富士通は、PCの開発から製造までを日本国内で行なっている。ここ数年は「信頼感のある品質」と「独自技術の実装」といった強みを生かし、富士通ならではの細かな製品作りに重きを置いているイメージが強い。
水内 「(ビジネスPCに関しては)最新のものを考慮しつつ、市場ニーズを踏まえ、キーワードとなるものをウォッチし取り入れています」
とのことだが、 特にビジネス分野では“エコ”や“セキュリティー”といったコンセプトを前面に押し出した製品企画を精力的に展開している。
例えば、業界最低消費電力を謳うデスクトップ「FMV-ESPRIMO」(関連記事)や、グリーン電力証書システムに対応した「FMV-BIBLO LOOX U」のエコモデルなど “カーボンオフセット搭載PC”だ。
その一方で、手のひら静脈認証や携帯電話を用いた暗号復号化アプリケーションなど、高度なセキュリティー技術の開発にも注力している。この分野では、PHSネットワークを利用した遠隔操作によって、HDDに保存されたデータを守る、紛失・盗難対策ソリューション「CLEARSURE」(クリアシュア)対応のノートPCを発表したばかりだ(関連記事)。
CLEASUREでは、HDD内の暗号鍵を消去し、暗号化されたデータを復元できなくする技術が盛り込まれている。
市場シェアトップも不況には痛手
IDC Japanが8月19日に発表した、2009年第2四半期(4月~6月)の調査(日本国内のクライアントPC市場出荷実績値)によれば、ビジネス市場のパソコン出荷台数は、151万台(昨年比22.2%減)とデスクトップパソコン、ノートパソコンともに激しい落ち込みを見せている。
このリサーチ結果で、富士通はベンダー別で1位となっているものの、出荷台数では前年同期比9.8%減と大きく数字を下げており、販売実績について「とても厳しい状況下にある」(水内氏)。この点は、ほかのメーカーと大きくは変わらない状況だ。ちなみに2位以下は、NEC、デル、東芝、日本HPが続く。
こうした現状について水内氏は「他社との価格競争も、痛手となっている」と、本音をちらりと覗かせた。

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