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Windows 7はビジネスPCを変えるか? 第2回

企業がWindows 7にせざるを得ない理由

2009年09月02日 09時00分更新

文● 小黒直昭

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コスト低減が、やはりキーになる

 パソコンの耐用年数限界、XPのサポート終了といった事情をふまえたうえで、Windows 7の企業における普及のポイントを考えると、やはりコストという一言に行き着く。それは、重ねていうように、不況のなせる業である。

 ここでいうコストには、追加アプリケーションや管理コストも含まれる。たとえば、VPNアクセスに必要なソフトの導入や、アプリケーションの改修費用、その管理にかかる費用だ。また、特に、近年ではセキュリティに対する意識の高まりから、それに伴う管理コストが企業の負担となっている。直接的な例を挙げれば、クライアントに組み込むウイルス対策ソフトや、暗号化ソフトにかかる費用であり、その管理にかかる人件費が、企業のITコストを引き上げている。


Windows 7にすれば「2300万円のコスト削減」の根拠

 7月に発表された日本の調査会社・ITRの試算では、Windows 7のセキュリティ機能とセキュリティリスク、互換性コストを検討し、XPで同等の機能を実現する場合とのコスト比較している。1500台のクライアントを有する売上高386億円の製造業を想定したこのシミュレーションによれば、3年間の累計で、Windows 7を導入した場合のコストの削減率は65%(2300万円)に達し、OSの調達コストを含めた場合でも、その差は7%(276万円)となるという。

コスト比較

ITRによる、Windows 7導入時と非導入時のコスト比較

 その、276万円の内訳を詳しく見ていこう。最も目につくのが、XPの場合に暗号化にかかるコストで、その差額が900万円(3年間/以下同)。互換性に関しては、XPモードが管理作業の自動化に対応していないため、APP-VとMODPのライセンス(100台)を想定しているが、外部にマクロの改修を発注した場合に比べ、差額が333万円、そして、セキュリティリスクが670万円となっている。

 セキュリティリスクについては、XPとVistaのウイルス耐性度から、前者は月に0.59%、後者は1%のパソコンが3時間業務停止すると仮定し、時間単位の売上高に換算している。なお、最終的な累積差額が276万円と圧縮されるのは、Windows 7の新規ライセンスに関して、3年間のSAを設定。関連費用と合わせ2475万円を想定しているためだ。

 ただしこの価格にはパソコンそのもののリプレースは含まれない。さらに言うと、3年後にXPがOSとして十分利用できればという前提の上に成り立ったシミュレーションだ。数年後にドタバタとOSを変更した場合、コストが膨らむ可能が、この報告でも指摘されている。

 もちろん、これは一定の条件を元にしたシミュレーションであり、必ずこれだけの金額が結果として現われるわけではない。また、単純に投資金額として見た場合には、たとえば現在、セキュリティ対策に投資していない企業にとっては、Windows 7の導入=コストアップとも見える。ただし、セキュリティ対策の遅れは人件費として隠れたコストアップに繋がっていることが多く、そうした認識も広まっているのが実際のところだ。こう考えていくと、このシミュレーションの数字は、コストの面からWindows 7を普及させための、説得材料といえる。


つかみは上々、あとはマイクロソフトの啓蒙次第

 おおむね、以上のようなことから、50%の企業がWindows 7の導入を検討しているとしても、驚くことではないと考える。一方で、クライアントレベルでは収まらない、Windows 7のサーバーを含めたインテグレーションはどうか。BranchCacheや、リモートアクセスによるバーチャルデスクトップによる“コスト削減”効果については、ITRの試算でも触れられていない。比較的規模の大きくなる投資に対し、どう生産に寄与するのか、こちらはマイクロソフトの啓蒙にかかっているように思われる。

Windows 7のタスクバー。透明感のあるフラットなバー上にアイコンが並ぶ。実行中アプリケーションのアイコンは縁取りが付いて、色も少し白っぽくなる

 最後に、Windows 7の操作性や、親和性についても触れておきたい。新たに設けられてた、目的のファイルに素早くアクセスするためのジャンプリストや、ボタン化されたタスクからプレビュー選べるタスク切り替え機能などは、明らかにXPなどに比べて使いやすく、個人の生産性を高める。

 また、Windows Vistaに比べ軽いと評判のWindows 7は、間違いなく個人の「うるさい層」に普及するだろう。マニアックな意見と笑われるかもしれないが、こうした数字になりにくい部分もまた、Windows 7の企業での導入を加速する要因だといって間違いない。

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