8月26日、マイクロソフトのITエンジニア向けカンファレンス「Microsoft Tech・Ed Japan 2009」が始まった。今年で15回目となる歴史あるイベントで、会場となるパシフィコ横浜では28日までの3日間に70のテクニカルセッション、38のハンズオンなどが行なわれる。
Windows 7の軽さをうったえるキーノート

Tech・Edのオープニングを飾る恒例のキーノート。今年の主役は、いよいよ9月1日にボリュームライセンスが発売されるWindows 7とWindows Server 2008 R2だ。登壇したコマーシャルWindows本部 本部長の中川哲氏がWindows 7について強調したのは、軽量化だ。
中川氏は、Windows 7搭載のノートPCがスリープ状態から約2秒で起動(復旧)し、電源を完全切った状態からの起動も18秒程度で完了する様子をデモンストレーション。続いて、CPUにATOM 1.33GHzを搭載するネットブックや3年前に購入した旧タイプのノートPC上で、Windows 7が軽快に動作する様子を紹介した。Windows Vistaでは酷評された「重さ」の問題が、Windows 7では克服されることを強く印象づけられるデモンストレーションであった。
Windows Server 2008については、サーバプラットフォームビジネス本部 本部長の五十嵐光喜氏が登壇し、省電力機能「コアパーキング」を紹介した。コアパーキングは、低負荷時に不要なCPUやコアの動作を止める機能を持つ。会場では、同じハードウェア構成のサーバにインストールしたWindows Server 2003 R2とWindows Server 2008 R2を用意し、消費電力を測定。Windows Server 2003 R2では215Wを消費するところ、Windows Server 2008 R2では159Wと約20%の省電力化が実現されることをデモしていた。Vistaと異なり、Windows Server 2008では大きな問題点は指摘されていない。そのマイナーリリース版であるR2では、問題点の改善ではなく、さらなる新機能の投入がアピールされる形となった。
メモリ節約で軽さを実現
Windows 7における軽量化への執念について紹介してくれたのが、米マイクロソフトのWindows Serviceability にて Windows のデベロッパーを行なっている中原大介氏によるテクニカルセッション「Windows 7とWindows Server 2008 R2 カーネル解説と基本機能の強化」だ。
Windows 7では、軽量化のためメモリ使用量の見直しが行なわれたという。その1つが、キャッシュの削減だ。Windowsでは、各コンポーネントがパフォーマンス向上のためにメモリ上にキャッシュを作成している。ところが、Windowsには大量のコンポーネントが存在するため、合計すると使用量が増えてしまう。そこで、Windows 7の開発にあたっては、400ものコンポーネントを見直し、メモリを無駄に使うキャッシュを削っていったという。
これにより、「キャッシュが減ればパフォーマンスが下がるのでは?」という質問もあるが、削ったのは無駄なものだけであり、結果的に処理は高速化された。
もう1つの軽量化は、ウィンドウ数と使用メモリの関係の見直しだ。これまでのWindowsではウィンドウをどんどん開くとメモリの使用量が増えるアーキテクチャになっていた。この点がWindows 7では改良され、ウィンドウが増えてもメモリ使用量が増えないようにしたのだという。
(次ページ、「Tech・Edで明かされたWindows 7のTIPS」に続く)
