中国での皆既日食(関連記事)を見るため、外国人が許可なしで行ける最果てに近い街「雲南省迪慶(デチェン)チベット族自治州徳欽」に行った。
チベット自治区自体は厳密には許可証(パーミッション)が必要となり、外国人が行くのは難しいのだが、雲南省を越えた最初のチベット自治区の街「塩井」だけは行ってもいいらしい。
徳欽の標高はチベット自治区がすぐそばというだけあり、四方山に囲まれ谷底に位置する市街地でも3200m~3300m。ちょっと階段を上っただけで未体験の息切れ感を体験できる。市街地は30分もあれば、くまなく歩けそうな面積だが、それでも周辺100kmにはこれほど大きな町もない。
ともかく、そんな最果ての町に来たからには、せっかくだからIT製品の普及っぷりを見ようと思うわけで、この徳欽と近隣の村々を巡ってみた。
徳欽の街を歩くと、ここではITといえば携帯電話なのだ、と感じるほど携帯電話の店をちらほらと見かけた。ズバリ携帯電話を販売する店のほかにも、プリペイドで電話代を支払う中国だからこその料金収納代行店や、SIMカードを販売する店もあり、携帯電話で楽しむための音楽・動画ファイルをダウンロードする店もあり、それとは別に携帯電話キャリア「中国移動(チャイナモバイル)」の営業所もあった。
携帯電話のキャリアと言えば中国移動と「中国聯通(チャイナユニコム)」があるが(最近では「中国電信(チャイナテレコム)」も加わったが、それは長くなるので割愛させていただく)、前者が強い理由は中国の最果てまで営業網を張り巡らせているから、というのも一因だろう。
携帯電話の店以外では、中国家電メーカーの雄「ハイアール(Haier・海爾)」のショップが印象的だ。ショップの中では洗濯機をはじめとした白物家電と、ブラウン管テレビがぎっしり置かれていた。店頭在庫から察するに特に洗濯機とテレビがニーズがあるのだろう。
徳欽から最も近い大きな街「香格里拉(シャングリラ)」からでも徳欽へ行くには標高4000mの峠越えが必要で、なおかつ道路は未舗装の部分も長い距離にわたってある。そんな街だから、徳欽でも目立つ中級ホテル(徳欽では最高級)にエレベータがあると「よくこんなの運んできたな!」と、すぐに息が切れてしまう環境にいることも相まって、ものすごく感動するのである。
話が脱線したが、このハイアールショップに関しても「よく家電をこんなにたくさん、未舗装の4000m超えの峠を越えて持ってきたな!」と感心、いや、感動するのだ。ハイアールは中国で最も支持されている中国家電メーカーであるが、人気の秘密は、中国移動の理由同様、あらゆる地域に根を下ろしているのが大きな理由のひとつとなっている。
ちなみに、ハイアールの店の上の赤い横断幕に書かれた「家電下郷 徳欽指定専売店」とは、「家電下郷の徳欽での対象店」という意味で、「家電下郷」とは何かというと、中国政府が実施している農村部を対象にした景気対策。農村戸籍の人に限り、一部家電製品が13%還付されて買えるというものだ。
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