日本での皆既日食は、注目されたトカラ列島悪石島で暴風雨、東京も曇りで見えたり見えなかったりだったが、中国もなかなか踏んだり蹴ったりだった。
中国では皆既日食帯が上海とその周辺の都市、中部最大の都市「武漢」、西部最大の都市「成都」に「重慶」を通るという、日本で言えば太平洋ベルトを皆既日食帯が通るような千載一遇のチャンスとなった。
……のだが、中国では皆既日食帯を狙ったかのように、同じ場所で局地的な大雨というトンデモな事態に。「北京五輪で打ち上げた消雨ロケットを飛ばせ!」と上海市民が訴えたのにはこうした事情がある。
グーグル中国ではライブ中継を行ない、日本でも一部のユーザーに知られる中国動画共有サイト「優酷網(YOUKU)」では皆既日食投稿動画特集を組んだが、余り盛り上がらなかったように終わってみて感じる。
ところが筆者は運良く中国で日食を見ることができた。筆者と取材協力者が向かったのは、上海から遠く離れ、隣にチベットがある「雲南省」。その雲南省の省都「昆明」と、中国で3番目に早く皆既日食が見える「徳欽」の二手に分かれて行った。
徳欽は雲南省最北端の地のひとつで、すぐ先にはチベット自治区と、最果て感が漂う場所であるが、日本人バックパッカーだけでなく日本人ツアー客も行くところであり、徳欽で検索すれば、多くの日本人旅行者の旅行記が読める。
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