リモートディスプレイの実現方法
では、このようにしてサーバ側で実行したアプリケーションを、クライアントPC側で利用するにはどうするのだろうか。
代表的なものは、リモートディスプレイと呼ばれる技術だ。これは画面転送型とも呼ばれるように、サーバ側で実行されているアプリケーション(やデスクトップ)の表示のみをネットワークを介して別のマシンで行なうものだ。そして別のマシンからのキーボードやマウス入力を、やはりネットワークを介してサーバで実行されているアプリケーションやOSに伝達している(図2)。
リモートディスプレイで使われるプロトコルには、Windowsのターミナルサービスで採用されたRDP(Remote Desktop Protocol)や、シトリックス・システムズのICA(Independent Computing Architecture)、UNIX系で広く使われたXプロトコル、RFBプロトコル(Remote Frame BufferVNCで使われていた)などがある。Hyper-V 2.0のVDIが利用するのはRDPだ
。したがって、シンクライアントはこのリモートディスプレイを実現するだけの機能を持ったハードウェアである。ただし、汎用OSの上で通常のリモートディスプレイソフトウェアを実行することで、同様の環境を実現する方法もある。
汎用のクライアントOSでリモートディスプレイソフトウェアを利用する方法は、既存のPC運用とのハイブリッドとなり、双方のメリットとデメリットが共存する。しかし、持ち出しを禁止する情報などのアクセスにリモートディスプレイを利用するなどしてセキュリティを高めつつ、通常のPCとしてそのまま利用するといったことが可能だ。もちろん、別途端末を用意する必要がなく、安価に仮想化デスクトップなどを利用できるというメリットがある。
サーバ仮想化との関係
さて、本特集のテーマである仮想化とクライアントの関係を見てみよう。クライアントの仮想化は、サーバ側のアーキテクチャと深く関係し、それにともなって使われるプロトコルが決まってくる。
マイクロソフトはHyper-Vの導入にともない、ターミナルサービスおよびRDPを改良した。また、サーバ側で実行されるアプリケーションのウィンドウだけをクライアントマシンに表示させるRemoteAppを提供している。
古くからシンクライアントソリューションを提供してきたシトリック・システムズは、ゼンソースを買収し、Xenによるクライアント仮想化システムのXen Desktopを提供している。
特にサーバ側の仮想化ソフトウェアがハイパーバイザ型になると、仮想化環境の実行効率が上がるためユーザーの利便性が向上する。ただし旧来のOSを使うと、サーバ側で完全仮想化を必要とし実行効率が落ちることがあるので注意が必要だ。
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