マイクロソフトは4月26日、デスクトップ仮想化への取り組みを強化し、ライセンス体系の整理や製品機能強化、シトリックス・システムズとの共同施策の実施などの一連の取り組みについて発表した。
ライセンス・コストを実質30%値下げ
マイクロソフトは、デスクトップ仮想化戦略として「すべてを網羅する製品ポートフォリオ」「高い親和性と統合管理」「高いコスト競争力」を3本柱とする戦略を掲げ、シトリックスとの協業体制も強化して積極的な展開を図る。
マイクロソフトのコマーシャルWindows本部 本部長の中川 哲氏によると、製品の強化としては「Microsoft Desktop Optimization Pack for Software Assurance」のアップデート版である「MDOP 2010 Refresh」を提供する。4月2日から提供されているMDOP 2010 Refreshには、仮想OS配信技術であるMicrosoft Enterprise Desktop Virtualization(MED-V) 1.0 SP1や、仮想アプリケーション配信技術であるMicrosoft Application Virtualization(App-V)4.6が含まれる。
MED-V 1.0 SP1では、新たに「日本語環境サポート」と「Windows 7サポート」が行なわれ、App-V 4.6では「VDI環境向けのディスク容量節約機能」と「x64クライアントOSのサポート」が実装された。これらの機能拡張によって、企業ユーザーにとってはようやく導入を検討するに値する環境が整ったといえるだろう。
また、ライセンス体系の簡素化も行なわれた。従来は、Windows SA(Software Assurance)保有ユーザーに対する仮想化デスクトップ用のWindowsクライアントのライセンスとして“Virtual Enterprise Centralized Desktop(VECD) for SA”が用意されていたが、これは廃止となり、Windows SAを保有していれば追加ライセンスなしで仮想デスクトップ用クライアントWindowsを利用できることになった。
参考価格では、VECD for SAはクライアントPC1台当たり年額9348円だったが、これが無償化されたことで実質的に約30%の値下げが行なわれたことになるという。また、シンクライアント端末を導入しているなど、Windows SAを保有しないユーザー向けには“VECD”(年額1台1万4400円、参考価格)が提供されていたが、こちらは新たに“Windows Virtual Desktop Access(VDA)”というライセンスに変更され、価格は約10%引き下げられる予定。ライセンスの変更は7月1日から実施される。
さらに、シトリックスと共同で「Microsoft+Citrix共同VDIキャンペーン」が実施される。
「VDIクイックスタート」は、Microsoft Core CAL/E CALを保有する250ユーザーまでのユーザーを対象に、Microsoft Virtual Desktop Infrastructure Standard Suiteを最大約70%OFFで、Citrix XenDesktop VDI Editionを最大約50%OFFで提供するもので、クライアント1台当たりのコストに直すと通常価格の約半額で導入が可能になるというもの。
「VMware VDIユーザー向け無償プログラム」は、VMware View/VDMユーザーで、Microsoft Core CAL/E CALを保有するユーザーを対象に、500ユーザーまでのライセンス(1年間)を無償提供するというもの。両キャンペーンとも、2010年12月末までの提供となる。
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