マイクロソフトのサーバ仮想化ソフトウェア「Hyper-V」。このHyper-Vの仕組みや入手方法、さらに導入の仕方や使い方を、マイクロソフトの専門家が、Q&A形式で疑問に答えます。
答える人:マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 コアインフラストラクチャ製品部 シニアプロダクトマネージャ 浅野 智氏
ハイパーバイザー方式って何がいいのでしょうか?
従来の仮想化は、ホストOS上で動作するゲストOS上でアプリケーションを実行する形でした。仮想化ソフトウェアがハードウェアをエミュレートしているため、OSまたはアプリケーションからハードウェアに対してアクセスがあるたびに、ホストOSでエミュレートされた仮想ハードウェア経由で命令を伝えることになり、非常に効率が悪かったのです。
今回のHyper-Vからは、OSとハードウェアの間にはハイパーバイザーと呼ばれる「薄い」ソフトウェア層しかありません。エミュレーションを介さずにゲストOSの命令がハードウェアに伝わるため、パフォーマンスが非常によくなりました。
また、マイクロソフトの提供している「Hyper-V」はマイクロカーネル型ハイパーバイザーで、デバイスドライバーがハイパーバイザー層でなく、管理OS層にあるため、Windows Server 2008に対応しているハードウェアのほとんどは、何も手を加えることなくHyper-Vに対応できるのです。
どういう機能を備えているのでしょう?
Hyper-Vの機能は大きく分けて5つあります。
1. ハイパーバイザー型のアーキテクチャー:仮想化のオーバーヘッドを最小化し、パフォーマンスが大幅に向上しています。
2. スケーラビリティーの向上:64ビット対応、マルチCPU対応(最大8CPU)、大容量メモリーへの対応(仮想マシンあたり最大32GB)など、ミッションクリティカルな環境にも耐えうる性能があります。
3. 稼働率の向上:Quick Migrationと呼ばれるクラスター対応により、冗長構成が可能になり、大幅に稼働率が向上しました。
4. セキュリティー強化:仮想マシンは実際のサーバーと同じく、重要なアプリケーションやデータベースを実行しているので、誰でもアクセスできたり、サーバーを削除したり停止できたりしては困ります。そこで、仮想マシンを操作するのに必要な権限を細かく設定できます。また、「Server Aを停止はできるが、削除はできない」など、管理者にも区分を設けて、細かく権限を設定できます。
5. 管理性の向上:標準搭載の管理ツールは非常にシンプルで直観的に使えます。細かなマニュアルを読むことなく、仮想環境を作成、実行できます。さらに、System Center Virtual Machine Managerを利用すれば、Hyper-Vはもちろん、Virtual ServerやVMware ESXといった異種仮想環境まで一元的に管理できます。
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